日本と韓国は「となりの親戚」。対立することでメリットはあるのか
●今朝の100円ニュース:日韓、三大懸案にすくむ(日本経済新聞)
近くにいる他人との関係ほど日常生活の安心感を左右するものはないと思う。
学生時代、海外留学中の先輩から「また貸し」された学生寮の部屋で1年間ほど暮らしたことがある。初めての一人暮らし体験に興奮して騒ぎすぎてしまい、隣室の上級生との関係がすぐに悪化。少し物音を立てるたびに薄い壁をバンバンと叩かれて抗議されるようになった。
僕には部屋を「また貸し」されているという負い目がある。貸してくれた先輩に迷惑をかけるわけにもいかない。悩んだ末に隣人に頭を下げることにした。「挨拶もせずにすみませんでした。隣に住まわせてください」と。神経質そうな上級生は目をそらしながら、「初めからそういう態度に出ればいい」と口早に言ってドアをバタンと閉めた。ちょっと屈辱的だったが、それからは壁を叩かれなくなり、安心して生活できるようになった。
この出来事があって以来、僕はアパートを引越しをするたびに左右の隣室および上下階の4世帯に「挨拶回り」をしている。粗品を持って訪ねて、「205号室に引っ越してきた大宮です。時間が不規則な仕事をしているので、物音がうるさかったりしたらおっしゃってください。自分でもできるだけ気をつけます」などと伝えるのだ。
一人暮らしや核家族が多い集合住宅で引越の挨拶回りをする人は珍しいのだろうか。ちょっとギョッとする人もいるが、たいていは柔らかい表情になって、「うちも小さな子がいるのでご迷惑をかけるかもしれません。こちらこそよろしくお願いします」と返してくれる。中には、物々交換をする程度に仲良くなる世帯もある。
今朝の日経新聞によれば、日韓関係は「出口の見えないトンネル」に入っているという。従軍慰安婦、戦時徴用、竹島の三大問題に対する見解の違いがこじれ、両国の首脳会談は今年一度も開かれていない。
東アジア地図を見ると、対馬を挟んでほとんど地続きのように見える日本と韓国。歴史的なつながりは非常に深いし、民主主義体制も共有できる。民間の行き来は突出して多い(訪日外国人の4分の1は韓国人)。個人的にも料理をはじめとする韓国文化が好きだ。韓国は、近所の他人というより隣室の親戚だと感じる。
その日韓が対立を続けることは、アメリカや中国、北朝鮮などには良いことかもしれない。日韓両国が手を携えたら、独仏のようなパワーを持ちかねないからだ。
当事者の日韓にとっては、良好な関係へと修復することはメリットしか生まないと思う。隣人と仲直りすることは、僕たちの生活に大きな安心と豊かさをもたらす。損をするのはごく一部のメディアと軍需メーカーぐらいだと思う。他に具体的な損する人がいたらぜひ知りたい。