大きなパンを『かぶっ』とかぶりついた時に、中から何かが登場すると、なんだか嬉しい。甘い味のものや、しょっぱいものがひょっこりと顔を出すと『いいぞいいぞ』と、ついついご満悦の表情が浮かび上がる。

宮城県松島町の高城地区にある「A&COOP 松島店」では、少し山手側にある「福祉生産工房 松の実」の手作りパンを委託販売している。パンは甘さ控えめのあんこがたっぷり入ったものや、胡桃にチーズなど種類はさまざま。

中でもびょーんと長い姿をした「枝豆フランス」の存在感はすごい。

長さは大体30センチくらいで、それだけでも『お！』と目を引くけれど、加えて薄さにも目を丸くしてしまう。

正面から見るとビッグフェイスだけど、横顔は風が吹き抜けるような薄さ。
だけどそれだけじゃないのは、中身。茹で上げられたホクホクの枝豆がパン生地の中で無邪気に駆け回り、負けじとチーズも追いかけっこ。だからどこをかじっても、必ず彼らが顔を出す。

ガブリ、ガブリ、ガブリ。
口の中いっぱいに頬張っていくと、やわらかなフランスパン生地は、どんどん味を出していく。枝豆の食感と一緒にチーズの豊かな香りと、ほんのちょっとの塩味がアクセント。

最初の1センチにも枝豆とチーズがあって、最後の1センチまで美味しい。大きくて薄い生地の中には、たくさんの中身が詰まっている「枝豆フランス」。
『さあ、食べてみたまえ』と、まるで堂々とした王様のようにも見えてくる。

年末年始のお酒のお供に、みんなで『カブリッ』と食べてみてはいかが？