これぞ秘境! 「燃える温泉」の入り心地は? 軽自動車で世界一周の旅をする夫婦が出会った秘湯
2005年から移住先を探して世界中を旅している夫婦がいる。なんと、軽自動車で車中泊をしながら!
訪問した地域は120数カ国に及ぶという石澤義裕さんに、旅の途中で入浴した世界の温泉について聞いた。
ーー今はどちらに滞在されているんですか?
石澤:今はボスニア・ヘルツェゴビナです。野良犬が多い国で、なぜかみんな黒犬です。
――移住先は見つかりましたか?
石澤:いくつか候補地を見つけました。だからすぐにでも日本に帰りたいのですが、モロッコでコロナのロックダウンにあい、2年半も足止めを食らってました。せっかくロックダウンが終わったというのに、今度はロシアのウクライナ侵攻で日本に向かえずにいます。いつ帰れるかな……あはは。
――世界にはいろいろな温泉があったと思いますが、印象に残っている国はありますか?
石澤:温泉といえば、アゼルバイジャンですね。
――意外ですね。というか、アゼルバイジャンという国自体のイメージがほとんどありません。
石澤:黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方の国です。独裁国家だけれど、石油や天然ガスなどの資源に恵まれて国が豊かなせいか、人はフレンドリーです。どこへ行っても、人が寄って来て、写真を撮られまくっています。交差点で隣に止まった車のドライバーが、お菓子をくれたこともありますね。
――アゼルバイジャンは温泉も多いんですか?
石澤:濃度や有機物の異なる30以上の温泉鉱床があるとか。多いのか少ないのか比較はできませんが、石油や天然ガスを採掘するとお湯が出てくるそうなので、温泉は副産物的に利用されているのかもしれないです。
――どんな温泉が印象に残っていますか?
石澤:「燃える温泉」ですね。
――燃える!?
石澤:イスチス地方という山の中にある温泉なのです。僕らが行ったときは、準備中なのか、休みなのか施設は閉まっていましたが、たまたま居合わせた庭師みたいな青年が敷地内に入れてくれました。ほとんど言葉は通じなかったけど。
――どんな湯船でしたか?
石澤:庭に石造りの共同風呂のような浴槽があって、裸になれる雰囲気ではなかったので、足湯だけ楽しみました。敷地内には川が流れていて、川底からガスを含んだ温泉が噴き出しています。そのまわりの水は温かいです。
――石造りの共同風呂は、燃えているんですか?
石澤:いえ。青年が火をつけてくれました。ただ、昼間は太陽が明るくて炎がよく見えないので、夜、自分たちで火をつけました。ポコポコ湧き出している泡に。
すると、よく燃えました。キッチンのガスコンロみたいに。お湯ぐらい沸かせたかもしれないです。なかなかロマンチックな光景でしたよ。
――そのまま入浴できたら最高ですね。
石澤:ガスの噴出量が少ないところは火が弱いので、入ろうと思えば入れたかもしれません。それよりも、お湯を手でバシャバシャひっかけても炎が不死鳥のように蘇るので、ちょっと焦りました。バケツがあったからよかったものの、あやうく放火魔になるところでした。
――そんな旅の珍道中をまとめた書籍『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(外部リンク)が発売になったそうですね。
石澤:はい、警察官にカツアゲされたり、車の残骸が転がる地雷地帯を疾走したりといった日本ではありえないエピソードが満載です。もちろん、とんでもない温泉の話も!
石澤義裕
札幌市出身。2005年より、妻Yukoと移住先を探して世界一周中。スクーターや車で旅をするオーバーランダー。海外放浪リモートワーカー歴18年のデザイナー。2015年より、軽自動車で地球横断中。訪問した地域は120数カ国。海外キャンピング・車中泊は、50カ国以上。海外でのスクーター、車の走行距離20万キロ以上。海外に古い家を買って、リノベしながら住みたい。
ブログ「旅々、沈々」、Twitter「Yuko@軽自動車で南アフリカへ行こう。」で旅の模様を発信中。