冬の冷え込みが強まり、温泉が恋しい季節である。せっかく遠出をするなら「特別な温泉」に入りたい、という人も多いだろう。

そんな人におすすめしたいのが「にごり湯が美しい温泉」だ。温泉はそれぞれが個性をもつ。白や緑、茶、青、赤などさまざまな色の温泉があり、温泉情緒を演出する効果がある。見た目も美しい個性的な源泉につかると「ああ、はるばる温泉にやってきたなあ」と満たされた気持ちになるだろう。

また、湯が濁るのは温泉成分が多く含まれる証しでもあるので、源泉かけ流しの湯船が多い。温泉の質にこだわる人にもにごり湯はおすすめだ。

そこで、今回はにごり湯が楽しめる温泉を関西エリアに絞って5カ所紹介したい。

南紀勝浦温泉（和歌山県）

紀伊半島の南部に位置する海辺の温泉地。大海原を望みながら入浴できる大型ホテル「ホテル浦島」では、ほんのりと白色に濁った湯を楽しめる。にごり＆硫化水素臭のある湯は、関西エリアや海沿いではめずらしく、温泉好きも満足できる。世界遺産の那智山や那智滝、熊野三山、吉野熊野国立公園への観光拠点でもあるが、紀伊半島南端にある港町のため、のんびりした雰囲気が漂う。

花山温泉（和歌山県）

和歌山市の市街地にある一軒宿「薬師の湯」。成分の濃い炭酸泉が有名で、赤茶色の濁り湯とそれがつくりだす析出物のインパクトがすごい。温泉好き憧れの名湯である。最大の魅力は、26度の源泉がそのままかけ流されていること。２つの泉温の湯船に順番につかる「温冷交互浴」が最高に気持ちいい。日帰り入浴のほか宿泊も可能で、2食付きプランのほか、朝食付き、素泊まりのプランもある。

入之波温泉（奈良県）

奈良県奥吉野、吉野川の源流近くの湖畔に湧く秘湯。旅館の「山鳩湯」では、炭酸ガスを含んだ茶褐色の湯がかけ流しにされ、オレンジ色の析出物が湯船や床を覆う様は、まるで温泉がつくりだした芸術である。アクセスするのは少々大変だが、ロケーションの面でも、泉質の面でも「秘湯」の名にふさわしい。

有馬温泉（兵庫県）

関西を代表する「にごり湯」といえば、歴史ある名湯・有馬温泉は外せない。まるでチョコレートのような赤茶色の湯が特徴だ。昔から湧く「金泉」は、鉄分と塩分を含んだ源泉で、塩分濃度は海水をしのぐほど。にごり湯の透明度はきわめて低く、成分の濃厚さを肌で感じられる。温泉街の中心にある共同浴場「金の湯」では気軽に金泉を堪能できる。もちろん、足湯も見事なにごり湯である。

つかしん天然温泉・湯の華廊 （兵庫県）

尼崎市のショッピングセンターの敷地にあるスーパー銭湯。30人ほど入れそうな大きな露天岩風呂には、黄金色の濁り湯が掛け流しにされている。見た目は有馬温泉ほどではないが、濃厚さを感じる茶褐色だ。新鮮な湯を独占できる壺湯の湯船もある。ショッピングセンターに併設されている湯の質としては全国的に見ても群を抜いており、近所に住んでいる人が羨ましく感じるほどだ。