まさか生きづらいのはHSPだから?原因や「うつ病のリスク」について
こんにちは、精神科医しょうです。
音や光、においなどに敏感に反応したり、人の感情に強く共感して疲れてしまうということはありませんか?
繊細な性格で生きづらさを感じている場合、それは『HSP』の気質が原因かもしれません。
過敏性のあるHSPの気質は、うつ病やほかの精神疾患へのリスクを含んでいるのかどうか、気になる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、HSPの特徴とうつ病を併発する可能性、仕事への影響とHSPの気質と向き合うポイントについて紹介します。
HSPとは?
HSPとは、心理学者アーロン博士が提唱したHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略語で、「過敏性や繊細な気質を持っている人々」の総称です。
HSPの気質を持っている人は、音や光、においなどの外部からの刺激に強く反応を示すほか、他人の感情に対しても深く共感するという特徴を持っています。
そのため、環境や周囲の人々からの影響を受けやすく、職場や家庭の中で気疲れをして生きづらいと感じている人が多い傾向があります。
下記で、HSPの代表的な4つの特徴について紹介します。
深く考える(Depth of processing)
HSPは一つの物事に対し、他の人よりも深く物事を考える特徴があります。
思慮深く、さまざまな角度から掘り下げて考えることができます。
深い話や哲学的な話を好み、一つの話から多くの想像を張り巡らせることができます。
しかし、考えすぎてしまうことから、新しい物事を始めるのに時間がかかるという難点を持っています。
刺激を受けやすい(Overstimulated)
HSPは音や光、においに敏感に反応しやすく、人混みや騒がしい場所はあまり得意ではありません。
人と関わると気疲れしやすく、ちょっとした言動にも傷つくことがあります。
また、些細なことに対して過剰に驚く傾向があります。
刺激を受けやすいという特徴はデメリットが多くあるように思えますが、小さな出来事にも喜びを感じたり芸術や音楽などにも感動しやすいというメリットも持っています。
共感力が高く、影響を受けやすい(Emotional reactivity and high Empathy)
HSPは周囲の人の感情に強く共感し、影響を受けやすいという傾向を持っています。
影響を受けるのは良いことでもありますが、他人の機嫌や思っていることを敏感に察知してしまうため気疲れしやすい一面があります。
映画やドラマ、本などの登場人物にも感情移入することがあり、良くも悪くも自分のことのように捉えてしまいます。
周囲の些細なことにも気がつく、感受性が高い(Sensitivity to subtleties)
HSPは身の回りの環境の変化に気が付きやすく、直感力に優れています。
しかし、敏感な気質ゆえに環境の変化に適応することに難しさを感じ、ストレスがかかってしまうこともあります。
また、HSPの人は些細な刺激に対する感受性も高く、他の人よりも五感が敏感です。
冷蔵庫の音や足音、ドアの開閉音などの生活音が気になったり、人の体臭や電車の中のにおいに反応して不快感を覚えたりするなど、日常の些細なことが気になってしまい、集中力が低下してしまうことがあります。
HSPとうつ病の違い
HSPとうつ病は共通しているところもありますが、HSPは先天的な気質で、うつ病は後天的な気分障害の一つなので根本的に異なるものです。
HSPは生まれながらにして持っている気質であるのに対して、うつ病は脳の神経伝達物質のバランスの乱れが関係していると言われています。
うつ病は、抑うつ気分や睡眠障害、「消えてしまいたい」と言うような極端な思考を持つことがあり、実際に死を選んでしまう危険性があります。
そのため、うつ病だと感じた際には症状が進行する前に、早期診断や早期治療をすることが望ましいとされています。
HSPは治療というよりも、気質との向き合い方や緩和方法を模索することが必要になります。
HSPがうつ病を併発する可能性
HSPとうつ病は根本的に異なるものではありますが、HSPの敏感な気質がうつ病の発症に繋がる可能性はゼロではありません。
気持ちの切り替えがうまくいかない、周囲の些細な言動を気にしてしまう、外部からの刺激に反応しやすい、ストレスにさらされやすいといった傾向があるため、それにより心の病気を併発してしまうこともあるでしょう。
HSPは、「疲れやすい」「気分が落ち込みやすい」「物音が気になって眠りにつきにくい」というような状態に陥りやすいため、うつ病ではないかと心配になる方もいるかもしれません。
気分の落ち込みや意欲の低下などが長期的に続いている場合は、うつ病やほかの精神疾患の可能性があるかもしれないので、病院で検査してもらうことをおすすめします。
HSPは仕事でうつ病を発症しやすい
HSPは周囲の人からの刺激や仕事でのプレッシャーによってストレスを感じやすいため、うつ病を発症するリスクが高いと考えられます。
周りの人々の感情を察することに長けているため、周囲からの評価が気になったり、自分よりも相手の都合を優先したりするなど、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまうことがあります。
また、音や光、におい、暑さや寒さにも過敏に反応することがあるので、職場の環境によっては強いストレスを感じることもあるでしょう。
タイピングの音や電話の音、隣の人のにおいや職場内の空調などが気になってしまい、仕事に集中できないというようなことが起こります。
他の人がミスで怒られていると、自分のことのように受け取ってしまうため、心を病んでしまうこともあるかもしれません。
そのため、HSPは仕事のプレッシャーや職場の環境によって、うつ病を併発してしまう可能性が他の人よりも高いでしょう。
HSPと相性のいい仕事は?
デザイナーやセラピスト、プログラマーなどの自分のペースでコツコツと作業できる職業は、HSPの気質を活かすことができるのでおすすめです。
また、感受性が高く物事を多角的に捉えることが得意なので、画家やイラストレーターなどのようなクリエイティブな職にも向いているでしょう。
またHSPの人は、人間関係に悩まされない職場や、他者との交流が少ない仕事がおすすめです。
家事代行や清掃員、学芸員などの職業や、在宅秘書や動画編集などの在宅ワークなどにも向いています。
HSPが敏感な気質と向き合うポイント
HSPの気質や強みを活かすようにする
HSPの過敏性や繊細な気質は病気ではないので、矯正したり克服する必要はありません。
逆に、HSPの気質や強みを活かすという考え方を取り入れるようにしましょう。
たとえばHSPは勤勉性があり、一つの物事に対して深く掘り下げることが得意です。
その気質を活かして、興味のある分野を極めたり能力を向上したりすることに取り組むと良いでしょう。
リラックスできるような空間を作る
HSPは、他の人よりも五感が鋭いという特徴を持っていますが、逆に言えば視覚や聴覚、嗅覚などから癒しを感じることもできます。
好きな絵を部屋の壁に飾ったり、心が安らぐアロマやお香を使用するのも良いかもしれません。
部屋の照明も明るすぎないものに変更し、間接照明などを取り入れてみましょう。
HSPの人は日頃からさまざまな刺激にさらされているため、せめて部屋の中だけでも自分がリラックスできるような空間を工夫して作りましょう。
HSPの気質を自分でもよく理解する
自分がHSPであることに、罪悪感や自己否定の気持ちを持つ必要はありません。
人よりも疲れやすい、マルチタスクが苦手、体調を崩しやすいなどというような傾向があるため、「HSPだから……」というマイナスな感情を持ってしまうこともあるかと思います。
その気質ゆえに、周りの人に理解してもらえず苦労することもあるでしょう。
しかし、「物事を深く考える」「情報をさまざまな角度から読み取ることができる」「感受性が高く共感力がある」「芸術や自然に対する関心が高い」など、他の人とは異なった面で秀でているところもたくさんあります。
デメリットの部分だけにフォーカスするのではなく、HSPについて理解を深めることで、日々の暮らしも生きやすくなるはずです。
HSPについての本を読んだり、自分の気質と向き合う方法を模索して上手に付き合っていきましょう。
まとめ
HSPと聞くと病名のように思うかもしれませんが、HSPは病気ではなく性格や特徴などといった気質に該当します。
ストレス解消方法の実践のほか、HSPとの向き合い方や対策などを知っておくことで、日々の生活も過ごしやすくなるでしょう。
しかしHSPの気質によって、疲れやすさを感じたり、憂鬱な気分を感じることもあるでしょう。
そのような状態が長く続くと、うつ病やほかの精神疾患を発症してしまう可能性があるので、心身に異変を感じた場合は早めに病院を受診するようにしてください。
私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。
あなたはこんな悩みをお持ちではありませんか?
「他人の顔色ばかりみてクタクタ」
「自分の意思で生きられない」
「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」
そんな他人軸に悩むあなたは私のブログ(外部リンク)をチェックしてくださいね。
あなたが「自分軸で気楽に生きられるようになる」ことを応援しています♪