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ライバルを追い抜くために…私が現役時代に自主トレを1人でやっていた理由

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 「同じ練習なら同じようにしか伸びない。(人に)追いつけないし、追い抜けもしない」。日経新聞の朝刊コラム「逆風順風」(1月14日付)の中で、現役時代に語っていた言葉が改めて取り上げられていた。

 年が明け、プロ野球の各球団の主力選手たちの自主トレの様子がスポーツニュースや新聞紙面をにぎわせ、新人たちも合同自主トレで汗を流している。持論は今も変わっていない。

 「自主トレ」は文字通りに、自分が主となって行うトレーニングのことだと思っている。チームの主力選手が若い後輩たちに声をかけ、一緒に生活を送りながら練習することもあるが、私は基本的には1人でやりたいタイプだった。プロ入りから数年なら先輩の背中を追いかけるのもいい。技術を盗む機会にもなるだろう。だけど、慣例化すれば、そこに「慣れ合い」が生まれないか。

 ポジションを死守しなければいけない主力と、奪い取らないといけない若手が同じ場所でほぼ同じ練習をしても、実力差は縮まらない。

 オフは鍛錬の時期。実力を伸ばすチャンスでもある。「技術的にどこを伸ばすか」「フィジカルの強化ポイントは」。シーズン中に痛感させらた課題と向き合い、周りの時間を合わせることなく取り組める貴重な機会に、ライバルでもあるチームメートと群れている場合ではない。そこへのこだわりは強かった。

 メジャーに行ってからは、練習を全くしない完全オフはほとんど作らなかった。「自分が休んでいるときに、ライバルが練習しているのではないか」。容赦なく解雇を言い渡されるサバイバルの世界に身を置き、危機感がなお強くなった。一方で、目的を持って、門をたたいてきた日本のプロ野球チームに在籍する選手を拒むことはなかった。聞かれれば、アドバイスも送った。いつかは自分で練習し、進む道を見つけてほしいと願いながら。経験上、一緒に練習できる人数は3~4人だろう。

 新型コロナウイルスが猛威を奮う中、プロ野球の臨時12球団代表者会議ではひとまず、2月1日から宮崎、沖縄両県での春季キャンプは予定通りに実施することで合意したというニュースを目にした。予定通りのスケジュール消化が理想だ。しかし、未曾有のコロナ禍では先行きが見通せないのも事実だ。

 キャンプ日程、オープン戦の試合消化、さらには春の開幕へ。どんな状況になっても、結果を出せるようにコンディションを整えていけるのがプロだと思っている。例年よりもオフの自主トレが大事になってくると思う。仲間と練習することも一概には否定しない。でも、一人で向き合う時間も持ってほしい。この時期に流した汗の分だけシーズンに報われる。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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