アニメ「鬼滅の刃」 「柱稽古編」のテレビアニメ化決定と薄まるメディアの反応
人気アニメ「鬼滅の刃」シリーズで、18日に放送された「刀鍛冶の里編」最終話の後に、「柱稽古編」のテレビアニメ化が発表されました。ファンが期待した通りの内容ですが、一方で気になることもあります。
◇「柱稽古編」のテレビアニメ化 ファンの期待通り
「鬼滅の刃」シリーズは、週刊少年ジャンプ(集英社)で2016~2020年に連載された吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作。人を食う鬼を倒す「鬼殺隊」になった少年・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼になった妹を人に戻そうと奮闘するダークファンタジーです。テレビアニメの人気、原作マンガの完結を経て、2020年に公開されたアニメ映画「無限列車編」は、興行収入が最高記録の400億円を突破する社会的なブームとなりました。
「刀鍛冶の里編」は、2021年12月~2022年2月に放送された「遊郭編」の続編です。刀鍛冶の里を舞台に、炭治郎は、仲間と共に強力な鬼との激闘を展開。最終話は70分の拡大放送で、後半の劇的な展開は原作マンガで内容を知っていても、見入ってしまうパワーがありました。
最終話の放送開始から15分をすぎたあたりで、ツイッターのトレンド1位に浮上。「鬼滅リアタイ」「番組の最後」「鬼滅待機」などの関連ワードも並びました。最終回の冒頭で、番組の最後で「お知らせ」の告知があると発表し、最後に「柱稽古編」のテレビアニメ化を発表する仕掛けは、ファンの予想・期待に沿っており、ソツがありません。
◇人気維持もメディアの配信記事は
一方で気になるのが、「柱稽古編」に対しての、メディアの反応がさらに薄く感じることです。アニメネタを扱うメディアは、さすがにきちんと追いかけていますが、大手メディアやスポーツ紙は、一時のように力を入れる感じではなくなっています。
また「鬼滅の刃」のアニメ化発表記事が配信されると、毎回のようにすぐヤフーのトピックスで採用されていましたが、19日午前8時ごろになってようやく取り上げられました。
「刀鍛冶の里編」の世帯視聴率は、ほぼ7%台で推移しています。深夜帯(23時15分放送)としては高いのですが、視聴率の伸びやすいゴールデンタイムのドラマなどと比較すると、仕方がないとはいえ見劣りはします。
しかし「鬼滅の刃」シリーズは、録画の視聴率が高い特徴があります。録画とリアルタイムの視聴率と合わせた総合視聴率は、朝ドラや大河ドラマなどに匹敵しますから、相当な人気を維持しているといえます。
ですが、視聴率でも「録画視聴率」や「総合視聴率」などは、速報を求めるメディアが扱いづらい一面があります。
「鬼滅の刃」はネット配信などが充実しており、放送は深夜帯です。「何が何でもテレビで見る」とは、なりづらいところもあるでしょう。にもかかわらず、視聴率が奮闘している……となるのですが、なかなかそうならないわけです。
もちろんメディアが記事で取り上げなくても、既に「鬼滅の刃」の認知度は高いわけで、リアルタイムで視聴するような客層は「柱稽古編」も見るでしょう。
そういう意味では、別に記事の減少で「困る」わけではないのですが、新規層やライト層を取り込むには、メディア(特に大手)の記事はある方が良いのも確かです。
総合視聴率の高さを見ると、「鬼滅の刃」がアニメとしては別格の存在であり、消費者の注目度の高さは持続しているのに、メディアの動きが鈍くなっている構図です。人気があっても同じような感じが続くと、感覚がマヒする側面も理解できるのですが……。話題になることの難しさを感じますね。