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王将リーグ・タイトル保持者対決▲藤井聡太三冠-△豊島将之竜王戦始まる 今年度両者14局目は相掛かり

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月5日10時。大阪・関西将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲藤井聡太三冠(19歳)-△豊島将之竜王(31歳)戦が始まりました。

 本局がおこなわれるのは関西将棋会館でもっともグレードが高い御上段(おんじょうだん)の間。先に入室した豊島竜王は歴代4人の永世名人の書を背にして、上座に着きます。ほどなく、藤井三冠も登場。下座にすわりました。

 現在の将棋界の席次では、豊島竜王は2位。藤井三冠は3位です。

 定刻10時。

「それでは時間になりましたので、藤井先生の先手番でお願いします」

 記録係が告げて両対局者は一礼。持ち時間4時間の対局が始まりました。

 藤井三冠は紙コップを口にしてお茶を飲んだあと、初手、飛車先の歩を突きました。対して、豊島竜王も飛車の前の歩を一つ進めます。

 最近の両者の対戦では相掛かりが多かったところ、先日の竜王戦第3局は久々の角換わりが見られました。今年度14局目の本局は、また相掛かりです。

 藤井三冠はスーツの上着を脱いで、グレーのセーター姿となりました。一方、豊島竜王は一度上着を脱いでグレーのカーディガンを着込み、またジャケットを着ます。

 藤井三冠は飛車先2筋の歩を交換したあと、飛車を大きく横すべりさせるモーションで、遠く7筋の歩を取りました。先手の歩得が活きるか。それとも後手の手得が優るか。現代将棋の最前線です。

 進んで25手目。藤井三冠は35分考えたあと、3筋の歩を突きます。時刻はちょうど11時過ぎ。藤井三冠は歩を進めたあとで、昼食の注文をしました。

 寒くなる季節に佳境を迎えていくのが、王将戦と順位戦。昨日は同じ御上段の間で、A級順位戦5回戦▲山崎隆之八段-△菅井竜也八段戦がおこなわれました。

 山崎八段は自身創案の山崎流パックマンを採用。フリースタイルな序盤作戦から強敵を相手に快勝を収めました。

 リーグ成績は山崎1勝4敗、菅井2勝3敗。山崎八段が会心の指し回しでA級初勝利をあげたことにより、混戦の様相を深めています。

 A級順位戦5回戦の残り4局は、11月19日に集中しておこなわれます。

△斎藤慎太郎八段(4勝0敗)-▲永瀬拓矢王座(2勝2敗)

▲豊島 将之竜王(3勝1敗)-△佐藤康光九段(2勝2敗)

△広瀬 章人八段(2勝2敗)-▲佐藤天彦九段(2勝2敗)

▲糸谷 哲郎八段(2勝2敗)-△羽生善治九段(1勝3敗)

 さらに同じ11月19日。当初の日程から変更されて、王将戦リーグ▲藤井三冠-△近藤誠也七段戦もおこなわれることになりました。観戦する側にとっても、大変な一日となりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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