阪神タイガース・安芸キャンプ初日のシート打撃 原口選手が第1号を含む3打数3安打!
きのう2月1日、沖縄・宜野座と高知・安芸で阪神タイガース2016年の春季キャンプがスタートしました。雨のため宜野座キャンプは室内練習場でセレモニーが行われたそうですね。安芸は灰色の雲がべったりと空を覆っていたものの、雨が落ちることなく…と思ったら午前11時頃からポツポツときて、一時は傘が要るくらいでした。でも正午前に上がり、シートバッティングは問題なく行われています。
キャンプ初日に報道陣が多いのは例年通りですけど、やはり掛布監督効果でしょうか?かなりの数でしたねえ。監督が動くたびにカメラ&記者陣も大移動!しかも安芸のあの坂道や階段を猛ダッシュですから、筋肉痛は半端じゃなさそうです。あ、私は上り下りだけでも厳しいのでダッシュはしておりません。
昨年までと変わったところは、前にも報道されていたように朝は全員が安芸ドームへで体幹やストレッチをし、それからメイングラウンドでのアップへ。指名された選手たちがやっていた『朝ウエート』はなく、そのかわり午後の個別練習に組み込まれました。個別練習は『特打』『特守』と『特ウエート』になり、ウエートに関してはABCの3グループに分かれて日替わりで行われます。そして個別練習も“白紙”にして、自分で考える日を設けるとか。これも大事なことですね。
また掛布監督が練習中、選手に声をかけるところはDC時代と変わらないのですが、やはり受ける印象は違い気がします。シートバッティングで登板した投手に「ナイスボール」「グッド」など、打ち損じた野手にも「惜しい!」「いいねえ」とかの言葉が飛び、選手も笑顔で「ありがとうございまーす」と返したり。球場を引き揚げる前の囲み取材で掛布監督は「声を出すきっかけを僕が作っていこうと。コーチも結構、声出てるんじゃない?」と話しました。
あとはユニホームの着方でしょうか。昨年の秋季キャンプからズボンの長さは自由になったファームですが、掛布監督と同じように引き続き“ジャッキー・ロビンソン・スタイル”のコーチや選手もいれば、くるぶしまで…いや今の時代はかかとまで?下ろしている人もあり様々です。そうそう、ユニホームといえば一二三慎太選手の背番号も、きのうがお披露目でした。だけど、いつまでもつけているつもりはない番号ですからね。今のうちに見ておきましょう。
シート打撃の結果
ではキャンプ前から話題になっていた、初日のシートバッティングの結果をご紹介します。登板した投手順に書きました。お手伝いの高校生が守っているポジションもあり、ヒットかどうか怪しかったところは記者陣で協議してヒットにしています。ヒット(太字)が多いですけど、まあ今回のシートはピッチャーも単に“抑える”ことだけが目的ではないでしょうしね。初日にしては速い球を投げていたり、鋭いスイングができていたりという印象。といっても初日は普通、プルペンのピッチングとフリーバッティングしか見ていませんから何とも言えませんねえ。
◆田面-捕・小豆畑 (17球)
【西田】中安打
【原口】左中間二塁打
【清水】投ゴロ
【 坂 】投内野安打
【森越】二ゴロ
◆小嶋-小豆畑 (18球)
【狩野】左飛
【原口】左安打
【植田】中飛
【清水】中安打
【森越】左安打
◆桑原-原口 (17球)
【西田】中安打
【 坂 】中安打
【狩野】中右安打
【清水】遊内野安打
【植田】空振り三振
◆伊藤和-原口 (16球)
【小豆畑】左飛
【西田】捕邪飛
【森越】遊内野安打
【 坂 】左飛
【狩野】中安打
◆金田-清水 (26球)
【植田】右直
【小豆畑】二飛
【西田】空振り三振
【小豆畑】二ゴロ
【森越】右安打
◆石崎-清水 (22球)
【原口】左本塁打
【森越】見逃し三振
【 坂 】見逃し三振
【植田】右二塁打
【柴田】左飛
◆守屋-小豆畑 (29球)
【俊介】右安打
【一二三】二ゴロ
【板山】一ゴロ
【柴田】四球
【俊介】二直
【柴田】四球
【一二三】二飛
◆トラヴィス-原口 (29球)
【板山】四球
【俊介】左安打
【一二三】二飛
【板山】一ゴロ
【一二三】一邪飛
【板山】左飛
キャッチャーで使ってもらえるように
二塁打、単打、本塁打の3打数3安打だった原口文仁選手。キャッチャーと柴田選手、俊介選手が3打席です。個別練習が『特ウエート』の原口選手は、そのあと念入りにミットを磨いてから取材に応じてくれました。別メニューでキャンプを終えた昨年を思うと、初日から全開で結果も出たというのが嬉しいですね。「きょうだけ見たら準備をしっかりできたのかなと思いますが、これを続けて、さらに良くなるようにやっていきたい」と、彼らしいコメント。
体の仕上がりも順調?「いい感じにきています。この2月1日からアピールしたいと考えて、自主トレからやってきたので、このままアピールを続けないと。あとは沖縄で新聞を見てもらえれば…ですね」。そう言ってニッコリ笑いました。初日にシート打撃ってのはチャンスだったのでは?「僕も初めてかな?(春季)キャンプで初日のシートは。ピッチャーの速い球をどうやって打ち返すかを考えていました」
ことしはいつもより早く準備をしてきた、というわけではなかったそうですが「例年だと、まだピッチャーの球も見ていない時期だから想像して、バッピの方に投げてもらって、その感覚を持てたのでよかったです」とのこと。3打数3安打でホームランも。上出来?と尋ねたら「まだまだ!しっかりやっていきます」と、あくまで謙虚な原口選手です。
そして「まだ初日ですし、これからいい練習をして、いいアピールをして、キャッチャーで使えると思ってもらえるくらい守備の方もやっていかないと!」と力を込めました。そうそう、年明けに「ことしもキャッチャー登録でいける」と喜んでいたんですよね。きのうもマスクをかぶって大きな声を出していた原口捕手は、最後に「まだ一日ですから」と繰り返しています。沖縄へ、1軍へ、再び支配下選手へと、その一日一日を積み重ねてください。
ちなみにホームランを許した石崎剛投手は「アウトコースの真っすぐが抜けて真ん中へいって…完ぺきに打たれちゃいました」とコメント。結構スピードは出ていたようで、悔しかったかもしれませんね。でも本当に、バットがボールと捉えた瞬間グワッと上がっていった打球はまさにピンポン玉のよう。あれがホームランにならなくて何がなる?ってくらいでしたから。(表現が稚拙ですみません)
飛距離に自分でもビックリ!
ドラフト6位・板山祐太郎選手は、シート打撃で3打数ノーヒットでしたが、掛布監督から「板山もいいよ!強く振るね。体をレベルに使える」という評価を受けています。練習を終えて、初シートの感想を聞くと「まずピッチャーのボールを見るのが久しぶりなので、自分のイメージとの誤差はありました。球の見え方や変化球のキレがアマチュアとは違う。そういうところに早く慣れていきたいです」とのこと。
そう言いながらも、フリーバッティングではサク越えを連発。約70スイングで12本くらい放り込んだと聞きましたよ。「バットを振ることはできたかなと。体重が増えた分、振れているんですかね」。飛距離もかなりあったし。「自分でもビックリしました!スコアボードの得点版くらいとかあって。ここ狭いんですかね?」。確かに中堅118mと両翼96mなので、ほんの少し狭いかもしれませんが。
「入寮前も大学の寮でしっかり練習してきたし、合同自主トレでも追い込むところは追い込めたので」。その成果が出て、自信になったでしょう。新しいユニホームをまとっての練習に「やっぱり嬉しいっていう気持ちが一番です。これを着て、早く甲子園で活躍したいなと思いました」と笑顔が弾けます。
ところで、シートバッティング中にバットが折れ、予備を持ってきていないことで先輩方から一気に突っ込まれたのは慌てたでしょう?「はい。折れていないと思ったら折れていました」と苦笑。ここぞとばかりに「おいおいおい」と、みんなニヤニヤしていたものの本人はベンチに戻っていいのか、そのまま打つかと右往左往。そばでバットを振っていた高山選手が貸してくれて落着です。
「普通は2本持っていとかなきゃいけないのに1本しか…」。それは知らなかったでしょう。でも次はもう大丈夫ですね。高山選手のバットはその打席にのみで返し、あとはベンチから自分のものを持ってきて無事に終わっています。高山選手にバットを借りていた時は「ただ折らないようにということだけ考えて打った」と言うので、みんなで爆笑してしまいました。結果はファーストゴロです。
監督の直接指導に「光栄です」
さて、とっさに自分の持っていたバットを手渡してあげたドラフト1位の高山俊選手は、昨秋の右手手術により今はまだ本隊と別のメニューもあります。バッティングも室内のみでしたが、掛布監督は安芸ドームへ行って直接指導しました。「バランスはいいが、強く打ちたいという気持ちからかステップの幅が大きい。少し小さくして体の回転を意識すること」をアドバイスされたそうです。
「狭い時の方がきれいに振れていると指摘していただいて。短い時間でしたけど、いい感覚がつかめた」と言います。最後はいい打球が飛んでいたのでは?「反ることなく素直に右腰を回すって言う感じですかね」。自主トレ中にはなかった掛布監督の直接指導に「初めてです。すごく光栄です!」と目を輝かせたルーキー。
初日の感想は「全メニューに入ったわけじゃないので、他の人の疲れ具合はわからないけど、いい緊張感を持って、いい練習ができたと思います」と振り返りました。監督の指導について「どうしても力んでしまうところもあったので、そういう時にいいアドバイスをいただいてやりやすかったというか、いい感じで打てたと思います」。監督がいいよ!いいよ!と乗せてくれたり?「そうですね。気持ちよく。言い方も本当にわかりやすいので」とのことでした。
なお屋外でのフリーバッティングもまだしていないので、きのうはシートノックでボール回しのお手伝いや、シートバッティングも見ているだけ。でもネットの後ろでピッチャーの球を見たり、それに合わせて軽くスイングしたりしていました。掛布監督は「シートを見ていいですか?と自分から言いにきた。野球に飢えてるんじゃないかな。早くみんなと同じレベルで野球をやりたいんだと思う。今は我慢の時だね」と話しています。
テレビで見ていた鶴岡さんが…
最後に望月惇志投手の話をご紹介しましょう。望月投手もまだ別メニュー。「だからそんなにガンガンやったわけじゃなかったんですけど。一日も早く皆さんと同じメニューでやれるように」と気持ちは高揚している様子でした。ユニホーム姿で全員揃った時に「全然違いますね。高校とはオーラも違う。小さい頃、テレビで見ていた方々がいて」と興奮気味。小さい頃?「あ、いや…小学生の時に」。いいんですよ、小さいで(笑)。
「鶴岡さんは横浜時代、自分が野球を始めてから憧れていた選手なんです。そういう人と一緒に野球をやるんだなあと思って。ここから1軍に上がっていくと、また違うんでしょうね」と、ニコニコと話してくれます。ちなみに鶴岡選手はお父さんより若い?「はい、うちの父親はもう58歳なので」。なるほど。という話を鶴岡選手にしたら「僕も聞いた!それで、よかった~って。お母さんはいくつかも聞いた」と大笑いでした。選手の親御さんと同じ年ってのは、結構へこむものらしい。よくわかります。