Go To Travelキャンペーンに反対している都道府県はどこ?
Go To Travelキャンペーンその後
先日の記事でGo To Travelキャンペーンについて触れましたが,その後反対派による更なる盛り上がりを見せているようです.
「#GoToキャンペーンを中止してください」というハッシュタグが生まれるなど,反対の意見がTwitter上で拡散していることがニュースメディアでも扱われるようになりました.
そこで,もう一度改めてGo To Travelキャンペーンに関するツイートについて分析を行ってみました.
今回は,特にGo To Travelキャンペーンに反対している都道府県はどこなのか,というところに注目してみたいと思います.
データ分析再び
2020年7月4日20時~15日23時までにツイートされたGo To Travel関係のデータを分析してみました.
- 総ツイート数:1,367,445件
- リツイート数:1,142,552
リツイート率が83.6%とかなり高めのように思われます.
- ツイートに参加したアカウント:381,130
- オリジナルツイートを投稿したアカウント:146,031
- リツイートに参加したアカウント:277,223
また,一部のユーザが拡散しただけかどうかを確認してみると,
- オリジナルツイートに関しては,72,630ツイートが14,767アカウント,つまり約半数のオリジナルツイートが約10%のアカウントによって投稿されました.
- リツイートに関しては,556,390回の拡散が17,762アカウント,つまり約半数の情報拡散が約6%のアカウントによって行われました.
一部のアカウントによるツイート,拡散は比較的多かったという印象です.その意味では,ノイジーマイノリティー現象が起きていると言えそうです.
ちなみに,「#GoToキャンペーンを中止してください」というハッシュタグの総ツイート数は68,293でした.
一部報道によると20万ツイートあったとのことですが,なぜか収集しているデータからはそんなに見つかりませんでした.う~む?
都道府県別ツイート数
さて,Go To Travelキャンペーンは県境をまたいでの移動が特に危惧されているわけですが,果たしてどの地域の方がもっともこのキャンペーンについて気にしているのでしょうか?
そこで,居住する県が推定出来ている1,285,559アカウントを利用して,どの県の人がどのくらいGo To Travelキャンペーンについてツイートしているのかを調べてみました.
ただし,県によってツイート数に大きな違いがあることが知られています.例えば,東京と鳥取ではツイート数に150倍くらいの差があります.
そこで,同じ期間に各都道府県の人がどのくらいツイートしたのかを基準にデータの正規化を行い,全ツイートの中でどのくらいがGo To Travelキャンペーンに関するツイートだったのかによって,各都道府県のツイート具合を分析しました.
その結果,島根県,東京都,長野県,奈良県,香川県の順でGo To Travelに関するツイートが多いことが分かりました.
これらの都県ではGo To Travelキャンペーンが多く話題になっているということになります.
ツイッター分析していると島根県とか滅多に出てこないんで,ちょっとテンション上がります.
次に,Go To Travelキャンペーンへの明らかな反対ということで,「#GoToキャンペーンを中止してください」のツイートについてどの県が多いのかを分析してみました.
その結果,ツイートが多かった上位15都道府県と下位15都道府県に色を塗ったものを示します.
これを見ると,主に大都市圏の周辺都道府県でツイートの割合が多かったように見えます.
そこで,次に地域別のツイート割合を計算してみました.
ここでは,各地域と,首都圏,大阪,愛知の大都市圏及び北海道と沖縄について分析しました.
縦軸は1.0が平均で各地域が平均以上に「#GoToキャンペーンを中止してください」とツイートした割合が多かったかどうかを示しています.
これを見ると,九州は非常に低い値となっていることが分かりますが,これはそもそも九州は現在大規模な水害に見舞われているため,Go To Travelキャンペーンについてツイートしている場合ではないためではないかと考えられます.
それ以外の地域で見ますと,
- 観光業が盛んな沖縄でキャンペーンに反対するツイートが多い
- 感染者が激増している首都圏も同様にキャンペーンに反対する割合が多い
- 中部地方,中国地方,近畿地方と大都市圏が近くにある地域も,旅行者を警戒してかキャンペーン反対派が多い
- 大阪府,愛知県では反対意見は平均より少ない
昨日までの段階ではあまり感染者の出ていなかった大阪や愛知では反対派が少ないようですので,この地域ではGo To Travelキャンペーンの利用が見込めるかもしれません.
まとめ
というわけで,どこの都道府県でGo To Travelキャンペーンについてツイートがなされ,「#GoToキャンペーンを中止してください」というツイートの割合が多かったのかを分析しました.
これを見ると,首都圏と観光客が来そうな地域では「#GoToキャンペーンを中止してください」というハッシュタグがより積極的に使われているようです.
首都圏の人たちは自分たちが感染源となることを恐れ,観光地の人たちは感染者が来ることを恐れているといったところでしょうか.
今回のキャンペーンは観光産業を復興させるためのものであるはずですが,観光業が盛んな沖縄でも,反対のハッシュタグが多くツイートされているというのは興味深い点です.
もちろん,このデータからだけでは確実なことは言えません.例えば,政権に批判的なアカウントがキャンペーンに否定的なツイートをよくしていることが分かっていますので,その影響が無いとは言えません.
いずれにせよ,
- ツイッター上ではキャンペーンに反対の人がツイートを拡散している
- 首都圏で反対のツイートの割合が多い
- 観光地でも反対のツイートが拡散している
ということがデータから明らかとなりました.
もちろんTwitterから社会のすべてが分かるわけではありませんので,これ以外の方法での調査が必要です.
Go To Travelキャンペーンへの風当たりが強そうな状況なわけですから,
キャンペーンやったはいいけど,利用者があまりいなかったなんていうことが無いように,客観的なデータに基づく政策決定が実現するとよいですね.