オスロ市長「ノルウェーは責任を果たしていない。同情よりも、難民受け入れを」
「難民は、ノルウェーには今ほとんどやってきません。無理もないでしょう。この国に来ることは、ほぼ不可能ですから」。12日、夏の日差しが照る中、国会議事堂前でオスロ市長マリアンネ・ボルゲン氏が声をあげた。
「先日、オスロにある難民受け入れセンターを訪問したのですが、ほとんど人はいませんでした。ある人は、それは私たちが移民政策に成功したからだと言います。しかし、私を含め、別の人々はこう言います。それはノルウェーが責任を果たしていないからだと」。オスロ市長が言う「ある人」とは、シルヴィ・リストハウグ移民・社会統合大臣(進歩党)のことだろう。
ボルゲン市長は、難民申請者の受け入れを最も寛容的な政策で訴える少数政党・左派社会党出身。最も厳格な進歩党や移民大臣を、以前から強く批判していた。ボルゲン市長だけではなく、オスロの前市長ファビアン・スタング氏(保守党)をはじめ、複数の自治体の市長が大臣の過激な発言に対しては眉をひそめていた。「言葉には力がある」。ある程度の厳格な移民政策の必要性には同意できても、大臣の過激発言は、必要以上の「異端者恐怖」を拡散させると、批判が集まっていた。
「私たちは、ただ座っているだけではいけません。オスロ市議会は、政府が今後割り当ててくる難民を喜んで受け入れます。大きな街なので、問題はありません」と語るボルゲン市長。
オスロでは、これまでも何度か難民受け入れを訴えるデモが開催された。今回の「バラの行進」には、各政党の青年部と市民をあわせ、約150人と、参加者は少なめのように見えた。ボルゲン市長は、団結力を強めるために、このような集まりの必要性を訴える。
「私には孫がいます。いつか、孫は私に聞いてくることでしょう。“おばあちゃん、どうしてその時、もっと行動しなかったの?”と。私は、孫にそう聞かれた時にどう答えていいかわかりません。すでに、今の子どもたちは大人に問い始めているはず」。
「かわいそう」と自宅で同情するだけではなく、行動を起こすことが必要だと市長は訴えた。
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