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ホークス注目の小久保・新ヘッドの初日。熱視線1号は2年目外野手の「膝」

田尻耕太郎スポーツライター
佐藤直にアドバイスを送る小久保新ヘッドコーチ(右)・筆者撮影

「小久保カラー」早くも

 2月1日、福岡ソフトバンクホークスは今年も宮崎市・生目の杜運動公園でキャンプインした。

 やはり初日最大の注目は新任の小久保裕紀ヘッドコーチだった。午後から行われたA組野手陣の練習では早くも「小久保カラー」が発揮された。

「バッティング練習のやり方を変えました」

 アイビースタジアム内にフリー打撃2か所、ティー打撃4か所、ロングティー2か所。同時に8名が打撃練習を行えるようになり、選手は一つが終わればすぐ次へ移動して休みなくバットを振り続けた。昨年までは選手によって待ち時間が発生していたが、これによって効率がバツグンに向上。キャンプ前に予告していた「一日1000スイング」に向けた土台づくりが仕上がった。

昨季は二軍盗塁王も一軍出場ゼロ

身体能力の高さには定評あり(筆者撮影)
身体能力の高さには定評あり(筆者撮影)

 また、就任初日という二度とないこの日。小久保ヘッドがまずどの選手に目を向けるかに焦点を当てて練習を見てみた。打撃練習の開始当初はノックバットを片手にやや遠巻きに練習を眺めていたが、スルスルとティー打撃を行っている選手たちの方へ歩を進める。やがて足が止まり、じっと視線を送る先でスイングをしていたのは、ドラフト1位で入団して2年目の佐藤直樹外野手だった。

 佐藤直は社会人・JR西日本からの入団だったが、ルーキーイヤーの一軍出場はなかった。ウエスタン・リーグでは20盗塁で盗塁王に輝いたが、ファームでも打率.229と振るわずにもともと課題とされていた打撃が足枷になっていた。

 ティー打撃が終わり、ロングティーに移ったところで佐藤直は、小久保ヘッドから声を掛けられた。身振り手振りを交えながらアドバイスが送られる。決して長い時間ではなかったが、佐藤直はどこかすっきりした表情でまたバットを振り始めた。

「膝の使い方がもったいないと言われました」と佐藤直。「もっと柔らかく使えればどんな球にも対応できるし、打球も変わる。もっと強い打球も打てるようになる、と言われました。今まで膝はあまり意識をしていなかったけど、小久保ヘッドを信じてやっていきたい」と目を輝かせていた。

柳町、そして松田にも声

 小久保ヘッドはその後、同じく2年目の柳町達もロックオン。さらに真砂勇介や増田珠には自らティー打撃のトスを上げ、松田宣浩と言葉を交わす場面も見られた。

 はたして、2021年のソフトバンクに「小久保イズム」がどのように浸透していくのか。今後も目が離せない。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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