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2023年2月最新「内閣支持率・政党支持率」トレンドレポート

大濱崎卓真選挙コンサルタント・政治アナリスト
(図は筆者作成)

内閣支持率・政党支持率の見方

 この記事では、世論調査会社グリーン・シップの「GS選挙調査センター」が全国規模で毎日実施している情勢調査のデータ提供を受け、内閣支持率や政党支持率の分析をお送りします。

 いわゆる世論調査はマスメディアなどが行っているものがよく知られていますが、大手メディアが行う世論調査は月1回程度しか行われず、また各社によって設問や手法が異なり、実施会社によって数字が大きく異なることで知られています。

 同社の調査は携帯電話(スマートフォン)を対象にした無作為抽出法(ランダムサンプリング)と呼ばれる手法を用い、特に若い世代から高齢者まで回答を募る方法として知られています。一般に固定電話にかける調査よりも年齢が若い人の回答も得られていることから、大手メディアが行う世論調査とは異なる傾向になりがちですが、継続的に支持率の変化みていくことで、相対的な状況把握に活用することができます。なお、同様の調査では、米国モーニング・コンサルト社が行う週次調査もよく知られています。

モーニングコンサルタント社 https://morningconsult.com/global-leader-approval/
モーニングコンサルタント社 https://morningconsult.com/global-leader-approval/

 なお、モーニング・コンサルト社による2023年3月8日から14日にかけて収集されたデータに基づいた最新の支持率は上表の通り「23%」と、世界各国と比較しても最も低いことがわかります。モーニング・コンサルト社の調査は、世界各国のトップ間における比較には最も適していると言えます。

内閣支持率は下げ止まり傾向が続く

GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用
GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用

 内閣支持率は参院選直後から明るみになった「旧統一教会の問題」の余波を引きずり、現在でも低位で固定しています。下げ止まり傾向は続いており、2月冒頭こそ上昇傾向との見方もありましたが、30%を超えない状況が続いていることからも、厳しい状況に変わりありません。ただ、月次では初めて前月比を上回る結果となったことからも、今回が底を打つ結果となったかどうか、今月(3月)の数字に注目です。

 また、内閣支持について「わからない」と回答する人の割合が10%を切りましたが、これは統一地方選挙が近づいてきたことに加え、岸田政権に対する国民の「好き嫌い」がはっきりしてきたとも言えます。当面は内閣支持率30%の大台を超えることができるかどうかが注目でしょう。

政党支持率は自民党が減少し、公明・国民・れいわ・NHKが伸びる

GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用
GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用

 政党支持率は、2月初旬から中旬のあいだは各党のあいだで大きな変動はありませんでしたが、2月下旬から各党の支持率に少しずつ変化が出てきました。自民党の支持率は減少傾向にあるのに対し、国民民主党やれいわ新選組、公明党やNHK党の支持率が微増傾向にあります。国会での予算委員会審議がテレビなどで中継されている効果のほか、組織力の強い公明党は統一地方選挙に向けての準備が進む中で、選挙が近づくになれて支持率が上がる傾向が今回も見えています。また、ガーシー参議院議員の懲罰の件で話題となっているNHK党についても、報道における露出が増えていることなどから、支持率が上がっているものとみられます。

 一方で、日本維新の会や立憲民主党の伸びは大きく見られません。若い世代にもアプローチされる同社のスマホ調査では日本維新の会の支持率が立憲民主党の支持率を上回っている状態が続いていますが、昨年夏の参議院議員選挙の際によりも差は縮まっており、統一地方選挙に向けての両党の動きが(2月時点では)必ずしも加速化できていない現実を表しているものと考えられます。

 なお、男女別の支持率では、男性の支持政党が自民党39.4%、日本維新の会11.3%、立憲民主党8.4%、国民民主党5.2%、無党派17.5%だったのに対し、女性の支持政党が自民党27.5%、日本維新の会11.4%、立憲民主党9.3%、国民民主党3.5%、無党派27.6%と、自民党や国民民主党の支持層に特に大きい性差がみられます。また、女性の支持政党では無党派が自民党支持者を上回っている状況からも、自民党の女性支持層が離れていることが確認できます。

選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2021年度経営情報学会代議員。日本選挙学会会員。

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