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人質立てこもり事件の犯罪心理学:解決のための最重要ポイント

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
事件解決のためにはどんな説得が効果的か(写真:Paylessimages/イメージマート)

■日本の人質立てこもり事件

日本では、人質立てこもり事件は、数多くある事件ではありません。年間、数件程度です。しかし、ひとたび発生すれば、日本中の注目を集めることになります。

強盗や殺人事件は、事件が起きてから、警察が動き、報道がなされます。

立てこもり事件も、もちろん発生後に警察もマスコミも動きますけれども、すぐに解決するのか、長時間にわたるのか、あるいは大きな悲劇が起きてしまうのか、それはまだわかりません。

大きな事件に発展してしまうかどうかを、私たちは注目し続けます。その中で、犯人も警察も動くところが、他の犯罪とは異なる点です。

日本の人質立てこもり事件として有名なのは、たとえば「三菱銀行人質事件」があります。1979年に発生したこの事件では、客と行員30人以上が人質となり、4人が射殺される悲劇となり、事件発生から42時間後に、犯人が射殺されました。

事件がこのよう結末を迎えるのは、最悪です。こんな終わり方は、何としても避けなければなりません。では、そのためにはどうしたら良いのでしょうか。

■人はなぜ立てこもり事件を起こすのか:犯人の特徴と心理

海外では、テロリストによる人質立てこもり事件がしばしば発生します。たとえば、2016年にバングラディシュで発生したダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件では、武装した7人のテロリストが、数十人の人質をとって立てこもり、日本人7人を含む28人もの犠牲者が出ました。

しかし、日本ではこのような事件はほとんど起きていません。日本の人質立てこもり事件のほとんどは単独犯です。政治的な背景なども、ほとんどありません。

強い思想や明確な目的を持った犯罪ではなく、むしろ典型的には、無職の人や職を転々として人生が上手くいっていない人による犯罪が目立ちます。

警察に要求を出す場合も、個人的な要求がほとんどです。マスコミ報道を求める犯人もいますが、自己顕示欲によるものが多いのです。

■人質立てこもり事件の犯行動機

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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