「自分の殻を破る」よりも、もっと成長できる考え方
よく「自分の殻を破れ」と言う人がいます。私もこの表現が好きです。「限界を突破しろ」「生まれ変わるぐらいの気持ちでやってみろ」という意味で使うのだと思います。
しかし「殻」とは何かを調べてみると、辞書には、物の表面を覆う堅い皮。英語ではシェル(Shell)のこと、と書いてあります。つまり貝殻や、木の実の堅い皮のようなもの。つまり「自分の殻」とは、自分の身を守るようなものであるため、これを破るということは、貝ならば、貝殻を捨てて「身」だけになってしまう、ということです。こんなこと、誰も望みません。
「自分の殻を破る」と、自分自身が突然別の何かへ進化していくような感覚になるため、多くの人が好きでこの表現を使用するのでしょう。
しかしよくよく考えてみると、自己変容は本来、そんなドラマティックなものでもないし、一瞬で別の姿かたちにトランスフォームするわけでもない。徐々に大きく、広がっていくものであるから、自分の殻は「ゴム」のような素材でできているとでも受け止めておいたほうがいい。一心不乱に何かに打ち込んでいたら、いつの間にか自分の能力や可能性が膨らんでいた、と後から気付く。そういうものだと私は考えます。
したがって自分の殻なんて、風船の表皮のようによく伸びるもの。自分の成長とともに膨らんで、だからこそいずれ空高く舞い上がる、とイメージしたほうがよいのでしょう。