【神戸・北野町】高校生だけで運営する「高校生ホテル」で、ディナー体験。高校生考案のおみやげも話題!
全国でも珍しい、高校生だけでホテルを運営する「高校生ホテル」がこの11月に神戸で開催された。今回で第5回となる「高校生ホテル」は、公立学校共済組合のホテルである「ホテル北野プラザ六甲荘」(神戸市中央区)と「神戸市立神港橘高校」の生徒たちによる共同企画。また、おみやげコーナーでは兵庫県の高等学校などの生徒考案の商品を「実習生産品」として販売し、話題になっている。実際に、「高校生ホテル」を体験してみた。
高校生たちがホテルマンに変身した「高校生ホテル」
2023年11月15日(水)から16日(木)まで、ホテル北野プラザ六甲荘を舞台に第5回の「高校生ホテル」が開催された。
当日は、神戸市立神港橘高校の情報類型システム活用コースの2年生38人に昨年経験している現3年生1名が加わり、企画からフロント業務、ベッドメーキングや部屋の清掃、レストラン業務までのホテルの業務をこなしていた。
ホテルの制服を着ていると、実際のホテルマンに見えてくる。あいさつも堂々としていて、高校生ホテルと知らないで入ったお客様は本物のホテルマンだと思い込むほど、しっかりとした接客をしていた。
レストランではメニューの企画から接客まで担当
訪れたのは、ホテルのレストラン「神戸北野ダイニングNinNin」。この日ばかりはサービス係は全員、高校生。また、厨房では料理の補助役を担っていた。
「高校生ホテル」のディナーは午後6時からスタート。席に着くと、お手製のメッセージカードがあり、ほのぼのした気分に。
担当の高校生のサービス係がお料理を運んでくれる。
ホテルの料理長と一緒に考えたという「コースメニュー」(6,500円税・サ込)を楽しみにディナーに参加したお客様は多い。
最初に出された『オードブル』は、ほうれん草のキッシュタルト、サーモン・アボカド・モッツレアチーズのタルタル、カボチャのプチシュー、丹波黒豆のクリームチーズの5種盛り。見た目も楽しく、ボーリュームもあるオードブルだ。
『スープ』は、淡路島産玉葱のグラタンスープ。淡路島産玉葱がやさしい甘さがあり、グラタンにしても美味しい。
『魚料理』は、真鯛のポアレ。淡路島産玉葱を使ったムニエルソースとの相性も抜群だ。
『肉料理』は、ビーフサーロインステーキ、赤ワインソース。肉汁が口の中に広がる美味な一品。
『デザート』は、かぼちゃプリン・ミニケーキ・フルーツ。コース料理には、パンとホテルオリジナルコーヒーも付いている。
ディナーの後、高校生たちによるビンゴ大会も開催され、ホテル北野プラザ六甲荘の宿泊券や有名店のハムの詰め合わせなど様々な景品があり、外れた人にもお菓子のプレゼントがあった。
高校生たちの研修は6月からスタート
レストランでも落ちついた接客をみせてくれていた高校生たち。実は、彼らのホテルマンとしての教育は「高校生ホテル」開催の5カ月ほど前の6月からスタートしていた。
6月は、高校生ホテルの舞台となったホテル北野プラザ六甲荘の歴史を知り、ホテルのマナーやホスピタリティーなどについて学んだそうだ。7月は、同ホテルの見学などを実施。テーブルマナーも体験し、高校生らしいおもてなしやディナーメニューなども考えたそうだ。 9月は、同ホテルで実習をし、各自の部署・担当などを決定。 10月には「神戸YMCA学院専門学校」の教室を借りて接遇研修を受講。その後、20~50時間にわたりホテル北野プラザ六甲荘で実習を受け、サービス業の知識や技能の向上を図ってきたというのだ。そして、11月、ホテルで最後の実習や最終の打ち合わせを行ったうえで、本番を迎えた。
本番当日も、しっかりミーティング。ホテルの指導係の統括であるエグゼクティブマネージャーの淀井武弘さんは「研修では、はじめにお客様としてフレンチのフルコースでのテーブルマナー講習を受けていただきました。ホテルでコース料理を食べる経験のない高校生にとってマナーの基礎を知ってもらうためです」と語っていただいた。
「笑顔あふれるおもてなし」を心がけた生徒たち
お客様には見えないところでがんばってきた成果を当日発揮できたようだ。
お客様も初々しい接客に好感を持たれる人が多く、「高校生ホテルに来てよかった」という声が異口同音に聞かれた。そして、お客様からも生徒さんたちからも「ありがとう」の言葉が飛び交う、素敵な「高校生ホテル」となった。私自身、来年も「高校生ホテル」にまた来たいと思った1人だ。
ところで、今年度の「高校生ホテル」は終了したが、実はホテルのおみやげコーナーでは、兵庫県の学校の生徒さんたちが考案したおみやげなどを「学生マルシェ」として、現在も販売していて、こちらも話題になっている。
「公立学校共済組合のホテルであるホテル北野プラザ六甲荘ならではということで、『高校生ホテル』だけでなく、おみやげの分野でも各学校にお願いし、協力いただいています」とは、総支配人の住本典彦さん。
おみやげコーナーには、香住高校海洋科学科シーフードコースの生徒さんたちが実習で加工製造した「さばの水煮缶」(200円※現在、入荷持ち)をはじめ、社高校「黒田庄和牛ぎゅぎゅっとカレー」(550円)、山崎高校「ゆずしそしょうゆ」(500円)、相生産業高校「牡蠣のチャウダー」(800円)、西神戸特別支援学校「ブドウジュース・カルベネ」(1300円※入荷待ち)など、生徒さんたちが考えた一味違う個性豊かな商品が数多く並んでいる。上記はごく一部で、本当に買ってみたい商品がいっぱいだ。
ホテル北野プラザ六甲荘に訪れる楽しみがまた一つ増えた。
【店舗情報】
「ホテル北野プラザ六甲荘」
住所:神戸市中央区北野町1-1-14
電話:078-241-2451(代表)
https://www.rokkoso.com
取材協力:ホテル北野プラザ六甲荘