高校生の77%が税金や社会保障について考えた経験ありません。
「未婚で年収200万円以下の若者」の約8割は親の実家に住んでいる。調査から明らかになった、若者の「住まいの貧困」の実態についてブロガーのイケダハヤトさんが書いてました。認定NPO法人育て上げネットでは年間1,000から1,500名ほどの無業の若者に出会いますが、一人暮らしやシェアハウスという住宅形態のひとは稀で、ほとんどの場合、保護者を中心とする家族との同居です。「親の持ち家」かどうかはわからないのですが、衣食住の一部または全部が「時限爆弾」であるというのは非常に示唆に富んだ表現だと思います。
当然、所得が低ければ住居という固定費を捻出する、し続けることは難しいわけですが、「一人暮らし」や「自活」について別の確度から見てみると、そもそも高校生の74%が一人暮らしの費用について教わった経験がありません。
これは私たちが2006年度から全国の高校生を対象に展開している金銭基礎教育プログラムMoneyConnection(R)アンケート調査の結果です(母数:約6,400名)。高校生から話を聞いても、保護者とお金のことについて話をすることはほとんどないと言います。そもそも家庭で現金をあまり見ないようです。給与は振込、各種支払いは引き落とし。公共交通機関は電子マネー、買い物もクレジットカードで、何にいくらくらいかかっているのか自然と目に入るようなことはないようです。その上で話をすることもないとなれば、費用感がつかめないのも当然ではないでしょうか。
もちろん、自ら主体的にお金や生活費について調べる高校生もいるかもしれませんが、携帯代や衣服費など身近な生活費はあたりがついても、家賃や食材費などはわからないといいます。古いものですが「16才のための暮らしワークブック―生きていくのにかかるお金は月いくら?(主婦の友社)」でまとめました。
特に税金や社会保障関係は想像がつかないようです。
これも金銭基礎教育プログラムMoneyConnection(R)アンケート調査からですが、税金などの支払いについて考えたことがありますか、の設問に対して、考えた経験がなければ「NO」、考えた経験があれば「YES」と回答し、どの項目について考えたことがあるかを問います。
「住民税」「所得税」「相続税」「贈与税」「消費税」「固定資産税」「国民健康保険税」「国民年金」「その他」ですが、ひとつでも考えた経験があれば「YES」になりますが、実際には考えた経験がない高校生が77%とかなりの人数に上りました(母数:11,681名)。
私たちはこれまで全国540校74,691人(2014年11月30日現在)の高校生とワークショップを開催してきましたが、彼らがお金について考えていないと言うよりは、そのきっかけや環境が周囲にないというのが課題であると感じています。理由は、ワークショップでの高校生の盛り上がりやアンケートを見ると、一人暮らしやお金についてしっかり興味と関心があるからです。
ある公立総合学科1年生のコメントを引用させていただきます(手書きアンケートのため引用URLはありません)。
その他に目立つのは、「知らなかった」が「知った」に変わり、保護者への感謝や知識の重要性、一人暮らしをしたかったけれど結構大変そうだということでしょうか。「お金」については家庭や学校のなかで話し合われることはあまり多くないようです。お金がすべてとはいいませんが、知らなかったことで子どもたちがリスクを抱えたり、トラブルに巻き込まれる可能性があるのであれば、早い段階で除去できる仕組みが必要だと思います。主要科目にお金や仕事について学ぶものができるといいのですが、いまは外部からワークショップをもちこんで展開をしています。
現在、金銭基礎教育プログラムMoneyConnection(R)では今年度内(2月、3月)で全国どこでも、どの課程であっても無償で実施できる枠を若干ですが残しております。プログラムの無償提供のご案内はこちらになりますので、学校の先生方でご興味ありましたら、ぜひ、お声かけください。