高まる保護司の不安 解消策はあるのか #専門家のまとめ
滋賀県大津市で保護司の男性が、保護観察中の男性に殺害された事件で、保護司の不安が高まっています。保護司は法務大臣が委嘱する非常勤の国家公務員で、その数は約4万7千人で、約8割が60歳以上です。犯罪や非行をしたひとたちの立ち直りを支援する保護司の担い手不足が社会的にも課題とされるなか、保護司が安心して支援ができるための解消策が議論されています。
ココがポイント
▼保護司はボランティアで、1人で複数人の支援を担当します。その73.4%が面会場所を自宅と回答。やりがいと不安が交錯しています
・保護司殺人に「あり得ない」と25年活動した女性 担い手不足の現実と「信じてあげる役割」の尊さ(AERAdot.)
▼保護観察対象者による保護司の殺害事例は60年ぶり。対象者が抱える問題は多様化しており、各分野の専門家、多職種連携が必要
・大津・保護司殺害事件の容疑者「仕事をすぐに退職」 保護観察対象者が苦しむ”文化的葛藤”と保護司の”役割”(弁護士JPニュース)
▼法務省の有識者検討会、今後の面会時の安全対策について意見交換
・保護司の安全対策、有識者が議論 殺害事件後初の法務省検討会(KYODO)
エキスパートの補足・見解
少年院等を出院した少年の更生自立支援をするなかで、保護司の方々の献身的な活動は犯罪や非行からの立ち直りの根底を支えるものです。高齢化やボランティアであることの課題もありますが、基本的には個人活動であることが、担い手の不足や対象者が抱える複雑な問題対応への難しさにつながっていると感じます。
一方、協力雇用主などのように組織として更生自立に貢献する仕組みもあります。その意味で、個人情報保護など一定のルールの下で、法人格を有する企業や団体が保護司の役割を担えるような制度の検討をしてもよいのではないでしょうか。