台風18号が発生か 今年の上陸台風は予報精度が良い
発生する台風に関する情報
令和元年(2019年)9月28日に、フィリピンの東海上で台風18号が発生しそうです(図1)。
海面水温は、台風が発達する基準となる温度である27度を上回る、29度以上の暖かい、水蒸気が豊富な海域です。
台風18号が発生となると、台風委員会に加盟しているミクロネシアが名付けた「ミートク(MITAG)」という名前がつきます。
ヤップ島の女性の名前で、「私の眼」という意味を持ちます。
気象庁では、台風18号発生前の27日14時00分に、「発生する台風に関する全般気象情報 第1号」を発表しています。
台風がまだ発生していませんが、これから台風が発生して北上し、来週の初めには、沖縄・奄美や西日本に接近して大荒れや大しけとなるおそれがあります。
最悪、日本列島全ての地域に影響する可能性もあります。
このため、早めの警戒を呼び掛けたものですが、まだ、台風が発生していない段階からの警戒呼びかけです。
タイトル画像の段階からの警戒の呼びかけです。
【追記(9月28日10時)】
9月28日9時にフィリピンの東海上の熱帯低気圧は、台風18号に発達し、ミートクと名前がつきました。
【追記(9月28日11時)】
9月28日9時の台風18号の予報では、10月2日に九州の西海上、3日に日本海となっています。
台風予報の精度向上
台風18号になりそうな熱帯低気圧について、早めの警戒呼びかけが可能となったのは、台風予報の進歩が背景にあります。
台風進路予報については、予報円が導入された昭和57年(1982年)以降、大きく見ると、予報誤差がどんどん小さくなっています。
2日先の予報の予報誤差は約100キロですが、予報円が始まった頃の3分の1です。
平成21年(2009年)に台風の進路予報が3日先から5日先まで(最大風速や暴風警戒域などの強度予報は引き続き3日先まで)延長された時に500キロ以上あった5日先前の予報誤差は約400キロになっています。
令和元年(2019年)の上陸台風
平成31年が令和元年(2019年)に変わるタイミングで、台風の強度予報が、進路予報と同じく、5日先までに延長となっています。
5日先まで、台風がどのような強さで移動してくるかが予報できるようになり、防災効果がたかまっています。
しかも、令和元年(2019年)に上陸した4つの台風についていえば、予報がかなり正確でした。
台風6号は、発生後1日で三重県南部に上陸しましたので、予報通りの上陸でしたが、宮崎市付近に上陸した台風8号は、4日前の南鳥島近海にあって、まだ発達していない段階から宮崎市付近上陸を予報していました(図3)。
また、広島県呉市付近に上陸した台風10号も、5日前に小笠原近海をゆっくり進んでいた段階から広島県上陸を予報していますし、千葉市付近に上陸した台風15号も、4日前に南鳥島近海で発生した時から東京湾へ向かうという予報をしています。
令和元年(2019年)にこれまで上陸した4つの台風は、いずれも、進行方向だけでなく、進行速度も正確で、予報円の真ん中を進んでいました。
台風15号の強度予報では、台風が発生する4日前から最大風速25メートル以上の暴風域を伴うまで発達し、東京湾接近ということを予報していました。
しかし、台風15号は、千葉県を中心に大きな被害が発生しました。
台風の規模が小さい、いわゆる豆台風であったために油断があったのではないかとの指摘もありますが、台風と名前が付く以上、大きな災害が発生する可能性を持っています。
だからこそ、熱帯低気圧のうち、災害をもたらすものを「台風」という特別の名前をつけているのです。
9月下旬は台風の厄日
過去に大きな災害をもたらした台風が襲来した厄日は、9月下旬に集中しています。
台風18号が発生する可能性があるマリアナ近海は、過去に大きな災害をもたらした台風が発生した海域です。
この海域にいる間にエネルギー源である水蒸気を集めて発達し、十分に発達してから日本に接近してくるからです。
しかも、日本列島付近に秋雨前線が停滞していることが多く、前線と台風で広範囲で大雨になることが少なくありません。
台風18号が日本付近に北上してくる頃には、秋雨前線が停滞している可能性が高いと考えられます(図4)。
自分の身、家族の身を守るのは自分しかありません。
正確になってきた台風情報の入手に努め、十分な警戒を早めに行うようにしてください。
タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図2、図4、図5の出典:気象庁ホームページ。