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週明けは記録的な暑さ 四国から関東で40度超えの可能性あり 熱中症警戒アラートは全国6割以上37地域

饒村曜気象予報士
西日本から東日本太平洋側で猛暑をもたらした天気図と衛星画像(7月28日12時)

梅雨明け後は大気不安定

 令和6年(2024年)7月22日、九州北部で梅雨が明けました。

 前日、7月21日には四国と近畿地方で梅雨が明けていますので、梅雨がないとされる北海道を除くと、現在、梅雨に入っているのは、北陸、東北地方だけです(表)。

表 令和6年(2024年)の梅雨明けと平年の梅雨明け
表 令和6年(2024年)の梅雨明けと平年の梅雨明け

 今年の西日本から東日本太平洋側の梅雨明けは、太平洋高気圧が強まって梅雨前線を押し上げ、晴天が続くというタイプの梅雨明けではありません。

 梅雨前線が弱まるというタイプの梅雨明けで、上空に寒気が入りやすいことや、下層に湿った空気が流入しやすいことなどから大気が不安定になり、広い範囲で落雷や局地的豪雨が発生しました。

 その後、太平洋高気圧の縁辺を回るように暖かくて湿った空気が北上してきたことで、東北地方で梅雨前線が再び活発となり、7月26日には山形県で線状降水帯が発生するなどで大雨となり、2度の大雨特別警報が発表となりました。

 7月28日も、太平洋高気圧の縁辺をまわるように、暖かくて湿った空気が東北地方の梅雨前線に向かって北上し、強い日射が加わり、各地で気温が急上昇しています(タイトル画像)。

 7月28日に全国で一番気温が高かったのは、千葉県市原市・牛久の39.8度、次いで、静岡県・浜松の39.2度と、2地点で39度を超える厳しい暑さでした。

 そして、最高気温が35度以上の猛暑日を観測したのが235地点(気温を観測している全国914地点の約26パーセント)もありました(図1)。

図1 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(7月29日以降は予想)
図1 全国の猛暑日、真夏日、夏日の観測地点数の推移(7月29日以降は予想)

 また、最高気温が30度以上の真夏日は582地点(約64パーセント)、最高気温が25度以上の夏日は794地点(約87パーセント)でした。

 猛暑日、真夏日、夏日とも、今年最多ではありませんが、今年最多に迫る高い数値です。

記録的な暑さの週明け

 週明けの7月29日(月)は、関東から西日本は高気圧に覆われて晴れる見込みです(図2)。

図2 予想天気図(7月29日9時の予想)
図2 予想天気図(7月29日9時の予想)

 フィリピンの東の低圧部(熱帯低気圧が発生する可能性のある領域)では、積乱雲が発生してその北側の高気圧を強めていますので、日本付近は雨雲が発達しづらく、ここ数日のような急な雷雨の可能性は少ないと思われます。、

 強い日射が続いて全国の最高気温が35度以上の猛暑日の観測地点数は今年最多の292地点(約32パーセント)となる見込みです(図3)。

図3 予想最高気温の分布(7月29日の予想)
図3 予想最高気温の分布(7月29日の予想)

 また、所によって40度を超えるという危険な暑さが予想されています。

 コンピュータの計算では、四国から関東にかけての15地点(約2パーセント)で40度以上となっており、めったに出現しない40度超えが複数地点で観測されそうです。

【追記(7月29日12時30分)】

静岡県・天竜では29日昼前に、気温が40度を超えました。長い気象庁の観測の中で、71回目の40度超えです。12時30分現在、関東の4地点ですでに39度を超えていますので、複数地点で40度超えが観測されそうです。

【追記(7月29日14時00分)】

7月29日14時現在、栃木県・佐野、静岡県・天竜、群馬県・館林の3地点で気温が40度を超えました。

 気象庁と環境省が共同で、全国58地域で発表する熱中症警戒アラートが37地域(約64パーセント)で発表されています。

 7月29日の発表で今年の熱中症警戒アラートの発表の累計が600地域を超えますが、記録的な高温とった昨年より、1週間ほど早く600地域超えです(図4)。

図4 熱中症警戒アラートの発表回数(2022年・2023年と2024年の比較)
図4 熱中症警戒アラートの発表回数(2022年・2023年と2024年の比較)

 つまり、今年は、記録的な暑さだった昨年より暑いということができます。

熱中症特別警戒アラート

 今年4月から熱中症特別警戒アラートの運用が始まり、発表時には徹底した熱中症対策がとられます。

 熱中症警戒特別アラートは都道府県単位で、前日の14時に都道府県内全ての暑さ指数が35以上と予測される場合に環境省から発表されます。

 現在運用中の熱中症警戒アラートは、全国58地域(北海道と鹿児島県、沖縄県を細分した都道府県単位)を対象に、地域内のどこかで暑さ指数33以上の時に気象庁と環境省が共同で発表されるものですが、熱中症特別警戒アラートは、過去に例がない異常な暑さが対象です。

 これまでに経験したことがない暑さで、記録的な猛暑となった昨年も発表基準に達していません。地球温暖化等で予想される今後の暑さに対する万一に備えてのものです。

 7月29日の暑さでは発表されないほど発表基準が高いものです。

 ただ、発表に至らないとはいえ、7月29日の暑さは、熱中症になりやすい危険な暑さにはかわりがありません。熱中症特別警戒アラートで行われる徹底した熱中症対策に準じた対策、「全ての人が、自助による個人の予防行動の実践に加えて、共助や公助による予防行動の支援」が必要と思います。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:環境省ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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