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【ランニングの時の呼吸法は?呼吸も疲れるって本当?】初心者のランナーこそ知って欲しい呼吸の大切さ

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

ランニングの時の呼吸はどうしたらいいのでしょうか。普段の呼吸のような「スー(吸って)ハー(吐いて)」の呼吸ではなく、ランニングの時は「スースーハーハー」であったり「スースースースーハーハーハーハー」がいいなんて言われています。その理由は「ランニングのピッチと呼吸のペースを無理なく同調させるため」であり、さらに「呼吸のオーバーペースを防ぐため」なんです。その理由を、文献的なことも織り交ぜながら書いていきます。

1.ランニングピッチと呼吸を同調させる効果

もともと動物は、呼吸のペースと運動のリズムには関連性があると言われています。そしてこれが乱れると、呼吸にも運動にも悪影響があるという報告があります。さらにこの関連性を弱めると酸素消費量が増したという報告もあります。特にランニング未経験者は、呼吸と運動のリズムの同調が不安定と言われ、ランニング初心者のランナーに対してそれを改善するアプリの研究もあるほどなのです。そのように、ランニングのピッチと呼吸を同調させることが大事なわけです。

2.ではランニングのピッチに「スーハー」あわせてみよう。

一般的に初心者の方でも、ランニングのピッチは160歩/分程度。走力があがると、もっとピッチが増えてきます。それに合わせて、ランニングのときに一度「スーハー」で呼吸を合わせてみて下さい。呼吸回数は80回/分です。おそらく「頑張ればできるけど、ランニングのピッチと同調しにくい」と感じると思います。というのも安静時の呼吸回数が14-20回/分ですから、4-6倍速く呼吸しないといけないわけです。こんな速さで呼吸しては、特にランニング未経験者の方はバランスが崩れやすく、その結果息苦しく感じてしまうと思います。

3.呼吸筋は疲労する

そして頑張って「スーハー」で同調させても、どんなランナーでも呼吸筋は疲労してきます。400m800m走でも、ハーフマラソンフルマラソンでも、ウルトラマラソンでも疲労すると言われています。オーバーペースは走行速度だけではありません、呼吸にもオーバーペースはあるのです。特にランニングの初心者の方は、呼吸筋を鍛えていないので要注意です。

呼吸筋が披露すると吸気量が低下してきます。文献では最大吸気・呼気ともに13%低下したという報告もあります。オーバーペースの無理な呼吸の場合、これ以上落ちる可能性があります。「スーハー」の呼吸は、ピッチと呼吸の同調の難しさに加えて、呼吸筋の疲労により呼吸機能も低下してくるのです。「スーハー」の呼吸は上級編と言えます。

4.ゆっくり呼吸でピッチと同調して欲しい

マラソンで最初から全力疾走することがないように、呼吸も最初から全力ではいけません。特に初心者ランナーほど、ゆとりのある呼吸でピッチを同調させて走ることが大事です。それでも終盤息苦しくなってきたら、呼吸のオーバーペースつまりは呼吸筋疲労かもしれません。「スースーハーハー」で始めてみて、同調が難しかったり終盤息苦しくなるようなら「スースースーハーハーハー」「スースースースーハーハーハーハー」などアレンジするとよいでしょう。

ちなみに自分の走行時の呼吸は、「スースーハーー(一回で吐くがやや長い)」にしています。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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