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【マラソン大会から検診まで何日空けたらいい?】内科専門医が解説する、ランナーが検診をうけるタイミング

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

夏から秋にかけて、健康診断を受ける方は多いと思います。検診の前の注意事項として厚生労働省では、アルコールや激しい運動は検診の前日から控えるようにとしています。ですが大会の2日後に検診をしても、再検査や要精査となってしまったランナーは多いと思います。ではどうしたらよいのでしょうか。

1.ランニング後の検診で異常が出やすい項目

まずはランニング後の検診で異常が出やすいのはおもに、
・筋肉への負荷で上昇するAST、LDH、CPK
・腎臓への負荷で陽性となる尿蛋白、尿潜血
・ランニングに伴う全身の炎症で上昇する白血球数、CRP
というところです。それぞれみてゆきましょう。

2.筋肉への負荷で上昇するAST、LDH、CPK

ランニングのような激しい運動をすると、筋肉由来の酵素が上昇します。検診の前にランニングをしたのであればそれが原因とは思われますが、筋肉の病気である可能性が否定できません。また、ASTやLDHは肝臓や血液の病気でも上昇することが知られています。その結果、要精査となってしまうのです。

筋肉に由来する酵素のCPKは、文献によるとマラソンのあと24時間程度でピークに達して、その後徐々に低下して1週間ほどで元の値に戻るとされています。それ以外のAST、LDHという筋肉に由来することもある酵素の値も、国内の研究で1週間程度で戻ることが分かっています。

特に暑さや、長い距離、強度の高いランニングでは著しく上昇します。そんなときには、約1週間程度あける必要がありそうです。

3.腎臓への負荷で陽性となる尿蛋白、尿潜血

運動により、尿蛋白・尿潜血が陽性となることがあり、それぞれ「運動誘発性蛋白尿」「運動誘発性血尿」と言われています。

蛋白尿は、距離が伸びるほど増加すると言われていますが、そしてこれも多くの場合は1週間程度で改善します。血尿も長距離ランナーに多く見られますが、通常数日で改善します。高強度のランニングをしたあとは、尿検査についても1週間程度間隔をあけるのがよいのです。

4.ランニングに伴う全身の炎症で上昇する白血球数、CRP

検診で炎症反応を測定することもあります。日常生活の中では、風邪をひいたり怪我をすると炎症反応が陽性となり、異常を指摘されることがあります。ですがランニングでも、末梢血の白血球数やCRPという炎症反応も上昇します。炎症に鋭敏に反応するインターロイキンを調べると、炎症自体はマラソン直後がピークで速やかに低下します。ですが検診で調べる白血球数やCRPは、少し時間差をもってピークを迎えてゆっくり減少します。レース環境や距離、アップダウンや服薬の有無によっても異なりますが、約1週間程度かかるようです。

5.まとめ

検診の注意書きには、検査前日と当日の激しい運動を控えるように書いてあると思います。ですが特に夏の、マラソンのような激しい運動の場合は、2~3日間隔を開けても検診結果に響く可能性があります。できれば大会から検診までには、1週間程度あけた方がいいと思います。
ですがランナーの中には、毎週末に高強度の運動や大会に参加される方も多く、1週間あけるのが難しい方もおられると思います。そのような方は、秋になって少し涼しくなってから、距離が短く負荷が少ない大会やトレーニングを行った週末に、検診を行うとよいでしょう。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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