私たち市民が政治に関わるうえで選挙やデモだけではなく「ロビイング」も密接に関わってきます。ただ、「ロビイング」や、「ロビイスト」という言葉自体をほとんどの方たちが知らないのではないでしょうか。

私としては有権者一人一人が政治に関わるうえで選挙やデモだけではなく、政治家に対して直接モノを言える環境にしたいと考えています。そのような環境を作っていくためにも、まずはみなさんにロビイングや、ロビイストについて知って欲しいと思いこの記事を書きました。

アドボカシーの重要性

「アドボカシー」は、社会的弱者やマイノリティなどの権利擁護をするために社会に対して「課題広報」や、「政策提言活動」を行うこと全般を指します。この「アドボカシー」の中でも、特に「政策提言」にあたる活動をロビイングと呼びます。

政治に影響を及ぼしたり、法律や条例を変えたり作ったりするために、議員や官僚、行政などに働きかけを行う人、つまりロビー活動をする人のことを「ロビイスト」と呼びます。

これまで日本で行われてきたロビイングは経団連や日本医師会、農協などの業界団体が「もっと金よこせ」と言って政治家に圧力をかけることがメインでした。また、労働組合も政治運動の一環として政策提言活動を行っています。これらの組織は圧力団体とも呼ばれ、自分たちの利益を図るべくロビイングなどの政治活動を行ってきたのです。

さらにこれらの圧力団体は組織内候補を選挙のときに出馬させて自民党や立憲民主党などに送り込んでいます。これらの組織内候補が当選したら、この議員を中心としてさらに圧力団体はロビイングを行っていくことが可能となります。

その一方で、これまで弱者やマイノリティを守るためのロビー活動を行う人間が足りませんでした。私はNPOやソーシャルビジネスの担い手が事業と結びつけて、弱者やマイノリティを守るロビイングを行うのが良いと考えています。困っている人を減らすためには、困った人を生み出す仕組み自体を変えていかなければならないのです。

圧力団体が行うロビイングと、NPOやソーシャルビジネスが行うロビイングとは目的がぜんぜん異なるので「草の根ロビイスト」という違う名称を使用しています。

草の根ロビイストを増やすために

私の場合はこれまで民間企業に勤めながら時間を作ってボランティアでロビー活動を行ってきました。平日の昼間に有給休暇を取得して国会議員の事務所に通い続けました。民間企業にいたときは私がLGBT当事者であることも、ボランティアでロビイングしていることも全くカミングアウトしていなかったので、けっこう気を遣いました。

将来的には社会的な課題を解決するためにロビイストに対して給料を払えるNPOやソーシャルビジネスが増えて欲しいです。ただ、働き方としてはNPOやソーシャルビジネスのロビイストとして働くのも良いし、民間企業に勤務しながらボランティアでロビイストをするのも良いと思います。それは、個人のライフスタイルでやり易いやり方をして欲しいです。

日本における具体的な事例

団体として「NPO法人セイエン/旧シーズ・市民活動を支える制度をつくる会（以下、シーズ）」をご紹介します。

「特定非営利活動促進法（以下、NPO法）」を制定時にシーズでは議員だけでなく行政や、自治体、経団連などの関係機関にも幅広くロビイングを行いました。また同時に、社会の理解も促すために全国の賛同してくれるNPOなどの団体や、それを支える地域の方、メディアに対しての世論形成を行いました。そうして、社会的なムーブメントを興していきます。

このようにシーズでは1994年の設立以来、議員や行政に積極的に働きかけて1998年には「NPO法」が成立されることになりました。NPOでも会社のように法人格を取得できるようになり、事業や活動の幅が広がることになりました。

アドボカシーやロビイングについて「もっと詳しく知りたい!!」という方にはNPO法人 市民アドボカシー連盟にて『ロビイングの心得』や『国会とロビイング（基礎編）』といった教材を無料で提供していますのでこの機会にぜひご覧になってみてください。