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シーズン打率を再び4割に乗せた安打製造機は、イチローの262安打を上回る可能性もあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)Jun 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月19日、ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)は、5打数5安打を記録し、シーズン打率を.400とした。

 7試合ぶりの打率4割台だ。6月11日の5打数1安打により、打率は前日の.402から.397へ下がった。さらに、続く3試合(12日~14日)は計12打数0安打。打率は.378となった。

 けれども、ここ3試合のうち、16日と19日は5打数5安打だ。17日の4打数1安打を挟み、打率は.390→.388→.400と推移している。

 昨シーズン、アライズは、ミネソタ・ツインズで打率.316を記録し、首位打者を獲得した。また、今シーズンの1試合5安打は3度目。6月3日にも、5打数5安打を記録している。

 ESPNスタッツ&インフォによると、1月に3度の1試合5安打以上は、1900年以降4人目だという。アライズ以外は、1921年8月のジョージ・シスラー、1922年7月のタイ・カッブ、1984年6月のデーブ・ウィンフィールド。3人とも、殿堂選手だ。

 1921年のシスラーと1984年のウィンフィールドの場合、1試合5安打以上は、シーズン全体でも3度だった。他の月は皆無ということだ。一方、1922年のカッブは、5月7日の5打数5安打を含め、1シーズンに4度を数えた。

 1試合5安打以上のシーズン最多記録が4度なのかどうかはわからないが、ベースボール・リファレンスによると、1956年以降では最も多く、1993年のトニー・グウィンと2004年のイチローが記録しているという。

 1993年のグウィンは、打率.358と175安打のどちらも、リーグ1位ではなかった。2004年のイチローは、打率.372も262安打も1位。それだけでなく、シスラーが保持していた257安打(1920年)のシーズン最多記録を塗り替えた。

 アライズは、ここまでに102本のヒットを打っている。マーリンズは、73試合を終えたところだ。

 2004年のイチローも、シアトル・マリナーズが73試合を終えた時点の安打は、102本だった。アライズは、1941年に打率.406を記録したテッド・ウィリアムズ以来、82年ぶりの4割打者となるだけでなく、イチローの262安打に並ぶ、あるいは上回る可能性もあるように見える。

 ただ、262安打のハードルは、打率4割よりも高そうだ。19年前のイチローは、73試合目までの打率.319に対し、74試合目以降は打率.417を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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