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台風24号が上陸なら5個目 11年前の10月20日は年間10個目の台風が上陸

饒村曜気象予報士
平成27年10月20日21時の台風24号の5日予報

気象庁では、台風の気圧が一番低い場所が、九州・四国・本州・北海道の上にきたときを「台風上陸」といいます。

島の上の通過や、岬を横切って短時間で再び海に出る場合は上陸ではありません。

台風の上陸数が変わってきている

台風の定義が「中心付近の最大風速が17.2m/s以上の熱帯低気圧」と決まった昭和26年(1951年)から台風上陸についての統計があります(表)。

台風の年間上陸数
台風の年間上陸数

年間平均上陸数は、昭和26年から55年までの30年間で3.0個、昭和56年から平成22年までの30年間で2.7個となっています。

戦後しばらくの時期と近年では、長い期間での平均では若干の減少ということになりますが、それ以上に大きな変化は、年による変動が非常に大きくなっていることです。

台風上陸数は年による差が大きくなった

昭和26年からの30年間では、上陸数の最大が5個、最小が1個と台風が上陸しない年はありませんでした。しかし、昭和56年からの30年間では、上陸数の最大が平成16年の10個で、上陸しない年もあります。

つまり、標準偏差を考えると、台風上陸数が2~4個の時代から、1~5個の時代に変わっているといえます。

ただ、最近の5年間でいうと、資料数が少なすぎるのですが、今のところ、2~4個の年々変動が少ない状態です。

現在、バシー海峡には台風24号があって、ゆっくりと北上を続け、日曜日(25日)21時には沖縄本島に予報円がかかる予報です。来週、台風24号が上陸するかどうかはわかりませんが、上陸すれば今年5個目、平成16年の年間10個には及びませんが、今年は台風上陸の多い年ということになります。

晩秋の上陸台風

平成16年10月20日9時の地上天気図
平成16年10月20日9時の地上天気図

数は少ないのですが、晩秋にも上陸台風があります。

真夏と違い、日本付近の海面水温が低いために衰えながらの上陸となりますが、暴風や大雨により大災害に結びつくことがあります。

平成16年10月20日に高知県土佐清水市付近上陸した、年間10個目の台風である台風23号は、日本付近の前線を刺激して、九州から関東にかけて記録的な大雨となり、兵庫県豊岡市の円山川の堤防が決壊するなどで100名近い死者がでました。

図2 平成16年10個目の上陸・台風23号(左:上陸1日前、右:上陸時)
図2 平成16年10個目の上陸・台風23号(左:上陸1日前、右:上陸時)

平成16年10月20日12時の気象衛星画像には、四国付近の台風23号が写っています(図2)。

その一日前、沖縄本島付近にいたときに比べると、台風の中心付近の雲が減っていますが、この段階で衰えているわけではありません。

台風の雲の衰弱は、中心気圧の上昇より先に起こるため、雲が衰弱しても、しばらくは台風の勢力が維持されます。

一番遅い上陸台風

一番遅い上陸台風は、平成2年11月30日に和歌山県白浜町付近に上陸した台風28号です。あと8時間上陸が遅ければ、12月の上陸台風でした。

ほぼ一年中、油断ができないのが台風です。

表の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

図の出典:気象庁

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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