「練習」と「稽古」と「訓練」の違いは?
「似ているけれど意味が違う言葉」その3
今回は、「練習」「稽古」「訓練」の違いについて掘り下げてみました。
あなたは普段どんな風に使い分けていますか?
1.練習
練習とは「技能・学問などを、上達するように繰り返して習うこと」です。
「練(練る)」の漢字は、「生糸を煮るなどして良い糸にすること」、「糸から余計なものを取り除き、上質のものに仕上げること」を表しています。
転じて、「手をかけて質をよくする」「きたえる」という意味になったと考えられます。
「習」の漢字は、「ひな鳥が繰り返し羽根を羽ばたかせている動作」を表しており、ひな鳥が飛び方を身につけようとしている様子から、転じて、反復することで技能を身に着けようとする行為を意味するようになりました。
2.稽古
稽古とは「芸能・武術・技術などを(先生について)習うこと」です。
稽古の「稽」は「考える」、「古」は「昔・いにしえ」。つまり、「昔(いにしえ)のことを考える」。
「稽古照今(けいこしょうこん)」という四字熟語があります。
「古を考え、今に照らす」。過去から学び、今に照らし合わせて、その教訓を活かすこと。
反復して身につける、という点では稽古も練習と同じですが、「稽古」には、師を通じて先人が培ってきたものを学ぶ、という意味が含まれているところが「練習」との違いと言えそうです。
3.訓練
訓練は、「技術などを教え込み、繰り返し練習させ、体得させること」です。
「訓」は、川が一定の道筋を流れるように人を教え導くこと、を意味する漢字です。
「練習」が技術などを ”身につける” (自分がする)ことであるのに対し、「訓練」は技術などを ”身につけさせる” (相手にさせる)ことである、という点が大きな違いです。
まとめ
◆練習:技能・学問など、何度も何度も繰り返すことで身につけること
◆稽古:練習と同じく反復して身につけることだが、先人の教えを学ぶという意味が含まれる
◆訓練:技術などを繰り返し練習させ、相手に身につけさせること
ちなみに、私はいつも「所作の練習」とは言わず、「所作の稽古(もしくは レッスン )」と言っています。( ”レッスン”は、「定期的に一定時間受ける、個人的な稽古」という意味)
所作や礼儀作法は、古(いにしえ)の智恵を学び、反復して身につけることなので、「練習」より「稽古」のほうがしっくりくるのは、語源からも納得でした。
日常なんとなく使っている、似ているけれど意味が微妙に違う言葉を調べてみると、その物事の本質が垣間見えることがあります。これからも色々な言葉の違いを取り上げていこうと思っています。