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組織でイノベーションを起こすために必要な、たった一つのこと

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

イノベーションという言葉は、「変革」「革新」などと日本語では訳されています。本来は、新しいアイデア・発明による、社会的に意義の高い価値の創造――といった定義ですが、現在では、もっと広義で、身近な意味合いをもって使われることが多くなっています。

私は企業の目標を絶対達成させるコンサルタントとして現場に入っています。すると、「もっとイノベーションを起こせ」「来季は組織イノベーションを進める」といった表現によく出会います。経営者や幹部が好んで使うのです。部署名に使われることもあります。「イノベーション企画室」「イノベーション推進センター」などといった部署も大企業などに存在し、そのような部署のメンバーと名刺交換をさせていただくことも日常的に多くあります。

このように身近になったイノベーションという表現ですが、実際に、どうすることで「行動」「組織」「発想」におけるイノベーションを起こすことができるのか。社会や産業を変えるほどの強烈なインパクトのある発明や革新的アイデアではなく、です。

私は天才や、周囲から「変人」と言われるほどのディスカバラーでない限り、意図的にイノベーションを起こすことは、ほとんど無理だと私は考えています。過去の現場体験からして、もしも一般的な常識人がイノベーションを起こすとしたら、本当の意味で追い込まれたときだけではないか、と。

イノベーションという言葉をあえて使うぐらいですから、単なる「改善」「改革」といったものではなく、「周囲から賛否が分かれるほどの、かなり大胆なアイデア・意思決定」をしなければなりません。組織の合意形成をもとに、イノベーションを引き起こすことなど不可能でしょうし、もしできたとしたら、その意思決定はイノベーションとは呼ばないでしょう。

常識的な人が、日常において、もしくは所属する組織において、常識を覆すようなアイデアを出すのです。天と地がひっくり返るぐらいの状況に追い込まれていないと、常識観をぶち破るような発想にたどり着くことはありません。

私がこれまで目にしてきた、数少ないイノベーション的な発想は、とてつもなく高い目標を渡され、それを達成させようと、なりふり構わず行動していた人にだけ訪れています。ふと振り返ってみたら、自分のやってきた行動やアイデアが、他人からすると、相当イノベーティブであった、という結果論として後付けされるのです。

高い目標もなく、静的な状況において革新的なアイデアを生み出す人は、前述したような「常識人」ではありません。したがって再現性がないのです。追い込んでもいないのに言葉だけで「イノベーションを起こせ」と経営者が叫んでも、革新的なアイデアが創りだされることはないと考えましょう。

いろいろなパーツでできあがっている、自分の中の常識観をいったん壊して分解し、それらのパーツを再構築、再結合させてはじめて、とんでもないアイデアが生まれます。脳が破壊されるほどの目標を掲げることが必要ですね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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