同性カップルの住民票「夫/妻(未届)」記載の動き #専門家のまとめ
長崎県大村市が、男性同性カップルの続柄について、男女の事実婚と同様に「夫(未届)」と記載した住民票を初めて交付した。
「同性婚」が法制化されないなか、異例の対応として広く報道され、後に続く自治体も出てきた。
「夫(未届)」「妻(未届)」という記載によって、実際に男女の事実婚と同様に扱われるのか、住民票の続柄は自治体が決めて良いのかなど、気になるポイントをまとめた。
ココがポイント
▼長崎県大村市が、男性同性カップルの住民票の続き柄欄に「夫(未届)」と記載。
▼同性婚が認められていないため、これまで同性カップルは「同居人」や「縁故者」という記載だった。
・住民票の続柄「夫」同性カップルに行政が異例の対応 総務省“おそらく初めての事例か”《長崎》(日テレNEWS)
▼総務省は未だ見解を示していないが、住民基本台帳法に基づき、住民票の続柄の書き方は自治体が決めることができる。
・東京23区で、同性カップルの事実婚表記を認めている自治体は?4区が記載する「縁故者」とは何か(ハフポスト)
▼法的効果としては、一律に男女の事実婚と同じように扱われるわけではない。今後、制度ごとに検討されることになる。
・同性カップルの住民票「続柄」が悩ましい 同居人、縁故者に「夫(未届)」が登場 同性婚の法制化こそ悲願(東京新聞)
▼栃木県鹿沼市、鳥取県倉吉市、京都府与謝野町、福岡県古賀市などが同様の記載や検討方針を示すなど、他自治体にも広がっている。
・同性カップルの住民票に「夫(未届)」、事実婚と同様の扱いに期待集まる。総務省は「答えられる段階にない」(ハフポスト)
▼東京23区では、杉並区、世田谷区が記載について検討する方針を明らかにしている。
・同性カップル住民票の“続き柄”対応 世田谷区 杉並区も検討(NHK)
エキスパートの補足・見解
今年3月、男女の場合は事実婚も対象となる「犯罪被害者給付金」制度について、最高裁が同性カップルも事実婚に含まれると初めて判断した。
これが、住民票の続柄も男女の事実婚と同じように「夫(未届)」「妻(未届)」と記載する後ろ盾になったと考えられる。
しかし、これで一律に同性カップルも事実婚として扱われるようになるわけではなく、今後、制度ごとに判断されることになる。
当事者団体の全国組織「LGBT法連合会」は、事実婚も対象に含む制度など、141の規定リストを超党派LGBT国会議員連盟に提出。それを受けて議連は、同性パートナーへの適用を速やかに検討するよう政府に求めた。
住民票の続柄記載の動きが広がると同時に、実際にさまざまな制度が同性カップルを含むようになると、当事者の法的保障は大きく進むことになる。
しかし、そもそも同性婚が法制化されていれば制度ごとに検討する必要はない。個別の制度の対象を同性カップルに広げると同時に、「婚姻の平等」の早期実現が求められる。