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王位リーグ白組優勝は誰か? 1993年以来陥落なしの羽生善治九段は残留できるか? 5月2日、最終戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月2日。お~いお茶杯第63期王位戦・挑戦者決定リーグ最終5回戦がおこなわれます。

 紅組、白組ともに混戦模様。最後まで熾烈な優勝争いが繰り広げられています。若き藤井聡太王位(19歳)に挑戦する可能性を残すのは、果たして誰になるのでしょうか。

 レジェンド羽生善治九段(51歳)は白組最終戦、残留をかけての戦いとなります。羽生九段は1993年に初めてリーグに参加。以来現在までリーグから陥落したことがないという、恐るべき記録を更新中です。

 羽生九段は今期、久保利明九段、糸谷哲郎八段に敗れたあと、池永天志五段、千葉幸生七段に勝利。千葉戦では最後、自玉が詰むや詰まざるやとなり、千葉七段が詰みを逃して勝つという劇的な幕切れでした。

 白組最終戦の組み合わせは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

 ▲澤田真吾七段(3勝1敗)-△羽生善治九段(2勝2敗)

 △池永天志五段(3勝1敗)-▲糸谷哲郎八段(2勝2敗)

 ▲久保利明九段(1勝3敗)-△千葉幸生七段(1勝3敗)

 プレーオフ進出、優勝の可能性が残されているのは澤田七段、池永五段、糸谷八段の3者。羽生九段は残留を目指しての戦いで、勝てば残留が決まります。

 どうしてそうなるのか? 規定が少し難しいので、場合わけで順に見ていきましょう。

 トップの4勝1敗が1人の場合はもちろん、その人が優勝です。そして残留者は直接対決の結果によって決まります。

 トップが4勝1敗で複数人並んだ場合には、優勝者はプレーオフによって決められます。

 トップが3勝2敗で複数人並んだ場合には、以下の方式で優勝者・残留者を決めます。

3名:該当する直接対決>前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)

4名:該当する直接対決

5名:前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)

 以上、少し複雑ですが、羽生九段は優勝の可能性はないものの、勝てば必ず残留、ということになります。

 羽生九段と澤田七段は過去の対戦は1回のみ。2019年の本リーグで、そのときは羽生九段が勝っています。

 糸谷八段と池永五段は初手合です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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