Yahoo!ニュース

夏にエンジェルスから移籍した3人の明暗が分かれる。マーシュとシンダーガードは活躍。イグレシアスは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・マーシュ(フィラデルフィア・フィリーズ)Oct 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月15日、ワイルドカード3番手のフィラデルフィア・フィリーズは、どのチームよりも早く、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ進出を決めた。

 ワイルドカード・シリーズでセントルイス・カーディナルスをスウィープし、ディビジョン・シリーズは、第1戦が7対6。第2戦が0対3、第3戦が9対1。第4戦は8対3。唯一の黒星を喫した第2戦以外は7点以上を挙げ、同じナ・リーグ東地区のアトランタ・ブレーブスを下した。

 これらの結果として、フィリーズは、殿堂入りするであろうカーディナルスの2人、アルバート・プーホルスヤディアー・モリーナのキャリアにピリオドを打ち、ブレーブスのワールドシリーズ連覇を阻んだ。

 2勝1敗で迎えた第4戦は、9番打者のブランドン・マーシュが先制点を挙げた。2回裏、1死一、三塁の場面で、カウント2-2から、カーブをライト・スタンドへ運んだ。マーシュは、次の打席に二塁打――センターとライトの間に落ち、バウンドしたボールをセンターが弾いた――も打った。

 この試合が始まるまで、マーシュはポストシーズンの5試合で9打数2安打、ディビジョン・シリーズは4打数0安打ながら、夏に移籍後は、レギュラーシーズンの41試合で打率.288(132打数38安打)と出塁率.319、3本塁打、2三塁打、9二塁打を記録していた。目を瞠るほど打っているわけではないが、移籍するまでの93試合は、打率.226(292打数66安打)と出塁率.284、8本塁打、2三塁打、9二塁打だ。フィリーズへ移ってから、マーシュはバッティング・フォームを変更している。それについては、1ヵ月前に「マーシュが移籍後の打率を3割に乗せる。エンジェルスを去り、新天地で打撃開眼!?」で書いた。

 また、先発マウンドに上がったノア・シンダーガードは、打者10人に対して投げ、8人目にホームランを打たれて2点差とされたものの、他の9人はいずれも討ち取った。短いイニングで降板することは、最初から想定されていたのではないだろうか。3日前の第2戦で、シンダーガードはリリーフとして1イニングを投げた。

 マーシュとシンダーガードは、シーズンを通して、チームメイトとして過ごしている。2人とも、8月2日に別々のトレードで移籍するまでは、ロサンゼルス・エンジェルスでプレーしていた。

 一方、彼らと同じ日にエンジェルスからブレーブスへ移ったライセル・イグレシアスは、移籍後の28登板で防御率0.34を記録し、第2戦でも8回表を0点で終わらせたが、この第4戦は、フィリーズを抑えられなかった。2対4の6回裏、2死一、二塁の場面で登板し、最初の3人にいずれもタイムリー・ヒットを打たれた。

 ただし、イグレシアスは、打ち込まれたわけではない。1本目は内野と外野の間、ライトの前に落ち、2本目は当たり損ねのゴロが三塁手の前に転がった。三遊間を破られた3本目も、ブライス・ハーパーに対してシフトを敷いていなければ、遊撃ゴロになっていただろう。

 フィリーズは、次のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで、ロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスのどちらかと対戦する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事