楽天SPUまた「改悪」、今度は楽天銀行+楽天カードが対象に
楽天市場のポイント還元プログラム「SPU」が、7月1日から一部条件を変更します。楽天経済圏におけるポイント「改悪」が大きな注目を集める中で、再び物議を醸しそうです。
楽天市場では、楽天のサービスを使えば使うほどポイント還元の倍率が高まるSPU(スーパーポイントアップ)が人気を博しています。普段から倍率を高めておき、いま開催中の「お買い物マラソン」のようなセールにあわせて買い物をするのが賢い使い方といえるでしょう。
このSPUの条件の1つに、「楽天銀行を引き落とし口座に設定した楽天カードを支払いに使う」というものがあり、これまでポイントが「+1倍」でしたが、2022年7月1日からは「+0.5倍」になります。
その代わり、楽天銀行の口座で「給与・賞与・年金」を前月に受け取っている場合は「+0.5倍」となり、合計で「+1倍」を維持できるとしています。
SPUでは条件ごとに月間の獲得上限が決められていますが、これまで会員ランクによって最大15000ポイントだったのが、ランクに関係なく5000ポイントに統一されるという変更も加わっています。
なぜこのように条件を変えるのか、楽天側の狙いとしては「生活のための口座として楽天銀行を使っていただける方に、より多くのポイントを付与するよう最適化した」(楽天エコシステム広報)と語っています。
楽天銀行は2022年1月末に1200万口座を突破後、3月末には1231万口座に達するなど口座数は伸び続けています。多くの銀行が給与振込などのメインバンク利用を優遇する中で、楽天銀行としても単に口座を持っているだけでなく、本当に使っている人に還元したいという思惑が感じられます。
以前に三木谷浩史会長兼社長は、楽天証券のポイント還元が「寛容すぎた」と語っていました。他のサービスについても、データ分析などに基づいて効果的な付与になるよう最適化を進めている印象です。
今回の変更も、ポイント付与が増える要素はなく、楽天ユーザーとしては「改悪」の印象が強いものの、楽天側は「お客様に還元しているポイント総額は増え続けている」(楽天エコシステム広報)と説明しています。
給与以外の報酬をもらっている人は?
今回の条件変更で気になるのは、「給与」の判定条件として、「給与振込」の電文で振り込みをされていることと説明されています。これ以外の報酬は、給与とは見なされないようです。
筆者のようにフリーランスや個人事業主の場合、通常の振込として報酬を受け取ることはあっても、給与としては受け取っていない人は意外といるのではないでしょうか。その場合、楽天銀行をどんなにメイン口座として使っていてもポイント倍率は下がることになります。
SPUとは位置付けが異なりますが、auじぶん銀行のじぶんプラスでは、「入金」の判定条件として「給与」に加えて「定額自動入金」でもOK。住信SBIネット銀行のスマートプログラムにも幅広い選択肢が用意されており、多様な報酬体系に対応している印象があります。
実際にはポイント付与がわずかに減る程度で、影響はそれほど大きくないと思われるものの、「もらえていたものがもらえなくなる」ことの失望感は大きいものです。他のネット銀行にとっては、楽天経済圏からの取り込みを図る追い風になりそうです。