三木谷社長が語る 楽天ポイント「改悪」の背景
2月14日に開かれた楽天グループの決算説明会の質疑応答では、最近大きな話題となっている楽天ポイントの「改悪」について、三木谷浩史会長兼社長が語る場面がありました。
最近、楽天がポイント制度に次々と手を加えており、これまでになく注目を浴びています。直近では楽天証券と楽天カードによる投信積立において、一部の低コスト銘柄のポイント還元率を1%から0.2%に変更。ユーザーの間では「改悪」との印象が広まっています。
この点について三木谷社長は、「(楽天証券のポイント還元は)少し寛容すぎるところがあった。お客様の中には我々の利益に貢献してくださらない方もいる。そこで顧客ごとに分析を始めた。ポイントのコストが多くかかっており、そこを変える。簡単に言うと通年で70〜80億円の話になる」と説明しています。
楽天証券では、楽天のサービス利用で楽天市場でのポイント還元率が上がる「SPU」にも変更が加わります。これまではポイントを含めて500円以上の投資信託を買い付けることで「+1倍」になり、楽天市場での買い物で最大5000ポイントが還元される仕組みでした。
これが4月以降は、ポイントを含めて投資信託を3万円以上買い付けると「+0.5倍」、米国株式の買い付けで「+0.5倍」に変更されます。つみたてNISAをしている人なら0.5倍は簡単に達成できそうですが、これまでと同じ1倍を得るには米国株式の買い付けも必要になります。
楽天はモバイル事業への先行投資で赤字が増えていることから、なにかと理由をつけてはポイントを出し渋っている印象も受けます。しかし楽天によれば、「ユーザーに還元しているポイントの総量」自体は、あまり変わっていないとのことです。
実際のところ、投資積立は「楽天キャッシュ」での買い付けに対応し、新たに0.5%還元(年内は1.0%還元)が6月下旬以降に始まります。ポイント還元率を上げたり下げたりすることでユーザーを誘導し、各サービスの利用率を高めていくのが楽天の狙いといえるでしょう。
「改悪」イメージで楽天離れが加速する?
今後も楽天は顧客データ分析によって、ポイント付与の「最適化」を進めていくと予想されます。他の多くのリワードプログラムと同様に、より多くサービスを利用する人に対して、より多く還元していく傾向が強まるかもしれません。
ただ、ユーザーの反応が楽天の想定内なのかは気になるところです。たとえば楽天証券では、投資信託を他の証券会社に移管する手続きが「1ヶ月待ち」となっており、他社に移りたい人が殺到していることがうかがえます。
こうした現象には、ネットやSNSで情報が拡散されやすくなっている影響もありそうです。「ポイ活」や「節約術」は最近の日本で一大コンテンツになっていますが、その中でも楽天の話は特に高い関心を持たれていると筆者は実感しています。
そのため、「これはおトクだ」となれば多くの人が殺到する一方で、いったん「改悪」のイメージがついてしまうと、本来は楽天に残ってほしい人にも逃げられる事態になるのではないか、という不安を覚えるところです。