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今夜F・マリノスACL優勝で… 日本がアジアと欧州で「1位になれる」こと

(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

それはアジアで「最多優勝国輩出リーグ」となるということだ。

25日の"25時"(26日の午前1時)キックオフのアジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2レグに挑む横浜F・マリノス。アル・アイン(アラブ首長国連邦)とのアウェーゲームに引き分け以上で優勝が決まる。

横浜F・マリノスが優勝すれば、この大会で日本※から7番目のチームとなる。これはアジア最多の記録だ。すでにこの大会の中継などで言われてきた内容かもしれないが、少し掘り下げてみよう。日本の過去の優勝チームは以下の通りだ。

  1. 古河電工(現ジェフユナイテッド市原・千葉=1987)
  2. 読売クラブ(現東京ヴェルディ=1988)
  3. ジュビロ磐田(1999)
  4. 浦和レッズ(2007, 2017, 2022)
  5. ガンバ大阪(2008)
  6. 鹿島アントラーズ(2018)

※前身のアジアクラブ選手権含む および 前身の日本サッカーリーグ含む

7番目に横浜F・マリノスが加われば、これまで最多タイだった韓国を上回る数字となる。

  1. 釜山大宇ロイヤルズ(現釜山アイパーク=1986)
  2. 城南一和(現城南FC=1996, 2010)
  3. 浦項スティーラース(1997, 1998, 2009)
  4. 水原三星ブルーウィングス(2001, 2002)
  5. 全北現代モータース(2006, 2016)
  6. 蔚山現代(2012, 2020)

大陸制覇が可能なチームが多く生まれる、という点もまた「強いリーグ」の証か。両国の数字はアジアでも群を抜いているもので、続くイラン、サウジアラビア、中国、イスラエル(1956年から1974年までAFC加盟)は「2」となっている。

さらに掘り下げると「日本独自の記録」という点がある。

韓国は2012年以降に新たな優勝チームが出てきていない。日本は横浜F・マリノスが優勝すれば、2018年の鹿島アントラーズ以来ということになる。Jリーグ30年の歴史で、2つのクラブのみがJ2降格を喫していない存在という点はよく知られるところ。そういった存在が、30年近い時間を経て大陸王者に輝く流れになれば、ストーリーとしても本当に美しい。

欧州にも例を見ない、オリジナリティのある歴史でもあるからだ。なにせ「大陸制覇チームを7つ輩出」というリーグは何せ欧州にも存在しないのだ。

同地域の最多はイングランドの「6」。ここが世界最高峰リーグゆえ、多い点は想像ができる。

イングランド 6

  1. マンチェスター・ユナイテッド: 1968, 1999, 2008
  2. リヴァプール: 1977, 1978, 1981, 1984, 2005, 2019
  3. ノッティンガム・フォレスト: 1979, 1980
  4. アストン・ヴィラ: 1982
  5. チェルシー: 2012, 2021
  6. マンチェスター・シティ: 2023

しかし、一方でその他のリーグが「ビッグクラブのみがずっと強い」。新しい優勝チームは出てこないが、強いチームが「確実に強い」。

イタリア 3

  1. ミラン: 1963, 1969, 1989, 1990, 1994, 2003, 2007
  2. インテル: 1964, 1965, 2010
  3. ユヴェントス: 1985, 1996

オランダ 3

  1. フェイエノールト: 1970
  2. アヤックス: 1971, 1972, 1973, 1995
  3. PSV: 1988

ドイツ 3

  1. バイエルン・ミュンヘン: 1974, 1975, 1976, 2001, 2013, 2020
  2. ハンブルガーSV: 1983
  3. ボルシア・ドルトムント: 1997

その他はスペイン、ポルトガルの「2」だ。欧州の5大リーグの一角として挙げられるスペインとて「2」なのだ。

スペイン 2

  1. レアル・マドリード: 1956, 1957, 1958, 1959, 1960, 1966, 1998, 2000, 2002, 2014, 2016, 2017, 2018, 2022
  2. バルセロナ: 1992, 2006, 2009, 2011, 2015

ポルトガル 3

  1. ベンフィカ: 1961, 1962
  2. ポルト: 1987, 2004

100年以上続く欧州各リーグの歴史と、日本の30年の歴史はまだまだ「比較にならない」面もあるだろうが…今日横浜F・マリノスが日本から生まれる7番目のアジア王者に輝けば、もう「いくらでもこねくり回せそうなめちゃくちゃ楽しい歴史的考察」が出来る。

30年経って新しい大陸王者が生まれる歴史は本当にスゴイのか。欧州にないような群雄割拠のリーグは適切なのか。あるいは欧州式の「強いチームがずっと強い」ことがよいことなのか。いやいやJリーグはどんな形態であれすでに欧州の5大リーグに選手を輩出するリーグになっている。アジアの中で比べても韓国の方が「ビッグクラブの浮き沈みが激しい」などなど…。そういう意味でも今夜の優勝に期待する。

<了>

参考データ

<アジア各国リーグの大陸王者チーム輩出数>

日本: 6クラブ

韓国: 6クラブ

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イラン: 2クラブ

サウジアラビア: 2クラブ

中国: 2クラブ

イスラエル: 2クラブ(1956-1974) 

アラブ首長国連邦: 1クラブ

オーストラリア: 1クラブ

カタール: 1クラブ

タイ: 1クラブ

<ちなみに世界には上がまだまだいる。ブラジルは「11」、アルゼンチンは「8」だそうだ>

ブラジル 11

  1. サントス: 1962, 1963, 2011
  2. クルゼイロ: 1976, 1997
  3. フラメンゴ: 1981, 2019, 2022
  4. グレミオ: 1983, 1995, 2017
  5. サンパウロ: 1992, 1993, 2005
  6. ヴァスコ・ダ・ガマ: 1998
  7. パルメイラス: 1999, 2020, 2021
  8. インテルナシオナル: 2006, 2010
  9. コリンチャンス: 2012
  10. アトレチコ・ミネイロ: 2013
  11. フルミネンセ: 2023

アルゼンチン 8

  1. インデペンディエンテ: 1964, 1965, 1972, 1973, 1974, 1975, 1984
  2. ラシン: 1967
  3. エストゥディアンテス: 1968, 1969, 1970, 2009
  4. ボカ・ジュニアーズ: 1977, 1978, 2000, 2001, 2003, 2007
  5. アルヘンティノス・ジュニアーズ: 1985
  6. リーベル・プレート: 1986, 1996, 2015, 2018
  7. ベレス・サルスフィエルド: 1994
  8. サン・ロレンソ: 2014

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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