【泉南市】買うと “応援してくれる”自販機って何? 担当者を直撃し、その「心温まる仕掛け」に驚いた
わたしたちの街に ドリンクを買うと“応援してくれる”自動販売機があるのをご存知ですか? ボタンを押すと「フレー! フレー!○○」という声が聞こえてくるのかなぁ? なんて想像してしまいますが、どうやらそうではなく、これには驚くべき仕掛けがあるようです。
こども若者応援自動販売機
泉南市が昨年の暮れからサポートしている「寄附型自動販売機」。
この自動販売機でドリンクを買うと、売り上げの一部が「こどもや若者の活動」へ寄付され、こどもたちの明るい未来への一助となるというもの。
この『こども若者応援自動販売機』は、昨年12月頃に第一号機が設置され、現在市内3箇所に優しさの輪が広がっています。
(取材日 2024年3月19日)
どこにあるの?
では、実際にどこに設置されているのか 巡ってみましょう。
①なみはやグラウンドの駐車場 (トイレ付近) / Googleマップ参照
1台目は週末にサッカーやテニスなどの活動で賑わう「なみはやグラウンドの駐車場(トイレ付近)」にありました。
この『こども若者応援自動販売機』は、「泉南市母子寡婦福祉会」が設置したもので「コロナ禍で少なくなったこどもや若者の活動(社会参加や体験や経験を通じた生きがいづくりなどの活動)を支援したい」と自動販売機を活用した寄付についてのお申し出があり、設置していただいたそうです。
そしてもう1台「泉南市母子寡婦福祉会」が設置している『こども若者応援自動販売機』があります。
地域のみなさんが憩いの場として活用されている「あいぴあ泉南」2階 受付奥の自販機コーナーに設置されていました。
『こども若者応援自動販売機』と他の自動販売機との違いは一目瞭然。
スポーツをしている“泉南熊寺郎”のイラストが目印です。
③フラワーショップひなた
そして3台目は、シャトレーゼの近くにあるお花屋さん「フラワーショップひなた」(Googleマップ参照)の駐車場にありました。
「みんなの気持ちが少しずつ周りに伝わり、そして地域へと波及し、大人も子どもも互いに尊重しあえる地域づくりを支援したい」と自動販売機を活用した寄付についてのお申し出があり、設置していただいたそうです。
そして、なんとこの自販機のドリンクは “10円安い!”
もちろん、他の『こども若者応援自動販売機』のドリンクが定価より高いということはなく、“いつも通りのお値段” です。
担当者を直撃
この取り組みをサポートしている泉南市 健康子ども部 子ども政策課を訪ね、お話を伺いました。
「街のみなさんが、市の取り組みとして “子ども支援” や “少子化対策” などの言葉を耳にされる機会も多いと思いますが、言葉だけじゃ伝わりにくいので何かカタチとしてあらわしたいと思い『寄附型自動販売機』のサポートをはじめました」と話すのは、課長の田中 克典(よしのり)さん。
では、具体的に『寄附型自動販売機』を設置するメリットとは何でしょう?
ご提供いただいたイラストをもとにご説明します。
第二期 泉南市子ども・子育て支援計画策定アンケート調査によると、「中高大学生や若者への支援が少ない」「子どもの活動の場が少ない」という市民の方々の意見が多く、「子どもや若者たちの声を聴く場をつくる」「中高大生が社会貢献できる場や社会参加等の場を提供する」ことなどが行政の課題と感じた。
その手段の一つとして、支援活動を身近に感じとれる『寄附型自動販売機』を市内に設置し活用いただくことで、地域全体でひとつの目的や目標に向かって支援することが出来る。
このようなメリットがあり、サポートする運びとなったのですね。
街の子どもたちの未来は、決して他人事ではない。
わたしも常々そう感じていて、『こども若者応援自動販売機』は、街全体で子どもたちを温かく支えるきっかけにもなりそうですね。
どのような「こどもや若者の活動」に寄付されるの?
泉南市の公式ウェブサイトには、以下のような活動への支援を考えている、と書かれていました。具体的に過去の活動を例にご紹介します。
・市が実施するこどもたちへの活動(子ども会議での活動など)
・市内のこどもたちと市で実施する活動
・市内のこどもたちが企画した活動
・市内のこどもたちのために企画した活動
例えば、昨年12月に泉南市文化ホールで開催された「こども未来フェス」では、泉南市の4つの中学校の文化部による総合文化祭や地元の畑で採れた野菜を使って料理をつくるなど、子どもたちは様々な “この街ならではの体験” を楽しみました。
新型コロナウィルスのパンデミック以降、子どもや若者たちの “体験の場” も少なくなり、市内の子どもたちは中学生になると「自己肯定感が下がる」という調査結果も。
「寄付金を使う際は、こどもや若者たちの声を聴き企画していきたい」
「ゆくゆくは、子どもや若者たちからアイデアを募集しプレゼンしてもらうなど、子どもたちが主体となって企画を生み出すような仕組みづくりをしていきたい」と田中課長。
時間はかかるかもしれない、と前置きをしたうえで、集まった寄付金額や使い道については、泉南市公式ウェブサイト(外部リンク)に掲載していく予定だといいます。
2023年4月に新体制となってスタートした泉南市 健康子ども部 子ども政策課のみなさんは、取材中 母であるわたしの意見も熱心に聞いて下さり、“街の子どもたちのためにチーム一丸となって頑張る”という意気込みを感じました。
“誰かの役にたちたい”という想いはみんなある
先日、主人と「餃子の王将」で食事をしていた際、いつもメニューの注文に時間がかかる主人が 即決で “あるメニュー” に決めていたことが とても印象的でした。
それは、能登半島地震復興応援メニュー「野菜煮込みラーメン」。
2月、3月限定メニューのこのラーメンは、1杯につき80円を令和6年能登半島地震災害義援金として、日本赤十字社を通じて寄付するというもの。
災害直後、Yahoo!基金を通じて寄付をしたわたしとは違い、そういう感覚は鈍いと思っていた人が、選択肢を与えられた途端に そのような行動に出たことに正直驚きました。タイミングは違えども “誰かの役に立ちたい”という想いはみんなある。
そう感じた瞬間でした。
『こども若者応援自動販売機』でドリンクを買ってみた
「あいぴあ泉南」2階にある『こども若者応援自動販売機』でドリンクを買ってみました。
もちろん、出てきたのは普通のドリンクです。でも、不思議と心持ちが違います。
金額にすると僅かな額ですが、このささやかな行いの積み重ねが、いつか街の子どもや若者たちのためになると思うと、明るい未来に向かって共に歩んでいる実感が湧いてきます。そして、この日は不機嫌になることもなく、気分良く過ごせたのは言うまでもありません。
住む街に“声”を響かせよう
3月上旬より、「第3期 子ども・子育て支援事業計画策定のためのWebアンケート調査 」が実施されています。
市内在住の就学前・小・中学生の子どもがいる世帯(住民基本台帳から無作為抽出)へQRコードが記載されたハガキが届けられ、アンケートにお答えいただく というものですが、みなさんはもうお済みでしょうか?
今回の取材を通して感じたことは、アンケートなどによる “声” はきちんと反映されているということ、“声” を届けなければ何もはじまらないということ、です。
『こども若者応援自動販売機』が生まれたきっかけもこのアンケートからでした。
専門家や子どもに携わる方々が考案した質問内容は、子育ての悩みや支援の希望、子どもの生活についてなど。おそらく「言いたい」「聞いてほしい」ことが盛りだくさんのはず。
締め切りは3月31日。期限は迫っていますが、子どもの未来のために 住む街に “声” を響かせてみませんか?
【基本情報】
『こども若者応援自動販売機』
泉南市公式HP(外部リンク)
〈お問い合わせ先〉
泉南市 健康子ども部 子ども政策課
Tel : 072-447-7747(直通)
Fax : 072-483-0325
e-mail : kodomo@city.sennan.lg.jp
取材協力 泉南市 健康子ども部 子ども政策課 課長 田中 克典 様、係長 幸前 弘樹 様、向井 涼 様
*自販機設置にご興味のある方は、子ども政策課までお問い合わせください。
*記事内容は取材当時のものです。