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【その後の鎌倉殿の13人】北条泰時も感嘆した!火災の延焼を食い止めた武士の技とは?

濱田浩一郎歴史家・作家

現代においても世界中で火事による痛ましい被害が多く報道されています。それは昔も同じで、人間は火災と隣り合わせでした。しかし、その中でも、人間は知恵を絞り、または体力を駆使し、火災被害を最小限にしようと奮闘してきたのです。鎌倉時代の文暦2年(1235)9月1日。この日、鎌倉の源頼朝の墳墓堂(法華堂)の「湯屋」が消失してしまいます。タイミングが悪く、その日は風がよく吹く日でありました。よって、火災被害は、法華堂にも及ぶものと思われました。

しかし、それを食い止めたのが、諏訪(兵衛尉)盛重でした。盛重は信濃国(現在の長野県)にある諏訪大社の大祝(神主)であり、鎌倉北条氏に仕える武士でもありました。盛重は火事を知ると、一人で真っ先に現場に駆けつけて、湯屋と法華堂の中間にある民家数十軒を破壊。延焼を食い止めたのです。ちなみに火元の周囲の邸などを破壊し、延焼を止めるというのは、江戸時代にも行われていました。盛重の尽力により、法華堂は火災を免れたのです。この功績に感嘆したのが、鎌倉幕府執権の北条泰時でした。泰時は盛重を褒賞(9月2日)。盛重に何らかの褒美を与えたものと推測されます。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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