誰でも自信がつく5つのステップ ~信用と信頼を分けて考えよう~
■自分を信用すること、信頼すること
「なかなか自信がつかない」
「どうしたらもっと自信がつくんだろう」
そんな風に感じたことはないか。誰だってあるだろう。そして、
「君なら大丈夫だよ」
「もっと自信を持っていけ」
そう他人から言われることも多いが、とはいえそんな励ましで自信がつくかというと、そんな簡単ではない。
――そんな風に感じたことはないだろうか。誰だってあるだろう。
根拠のない自信を持つ人もいる。が、多くの人は自信を持つための根拠が必要だ。再現性のあるメソッドや手順があったほうがいい。
そこで今回は、誰でも自信がつく5つのステップを紹介する。経営者や組織リーダー、営業職など、日ごろから「自信」が成果を左右する仕事に就いている人に読んでもらいたい。
自信とは、よく自分を信じることだと言う人がいる。私もそのように捉えている。自分を真正面から信じることができたら、想定外のことが起きても、新しい挑戦をはじめるときも、動揺しないだろう。不安を覚えることもないはずだ。
それでは、この信じるという表現を、私は2つに分解してみたいと思う。その2つとは「信用」と「信頼」である。
・自分を信用する
・自分を信頼する
この2つである。
■信用と信頼の違いについて
信用と信頼の違いを、皆さんご存知だろうか。
ネットで検索するだけで信用と信頼の意味の違いぐらい、たくさん出てくる。なので、多くの人は知っていることだろう。
簡単に紹介すると、信用は過去の実績を評価して信じることを指す。いっぽう信頼は未来の行動や成果を期待して信じることだ。
信用と信頼。同じような意味合いに思えるが、信用取引とは言うけれど信頼取引とは言わない。信頼関係と使うが、信用関係という言葉は使わない。このように私たちは無意識のうちにこれらの言葉を使い分けている。
信用が過去、信頼が未来。こう区別すれば、自信というのは「自分を信頼する」ことであり、自分を信頼するためには、まず過去の行いを評価して自分を信用できるようにすることが先決だ。そう理解できるだろう。
たとえば突然、飛び込み訪問でやってきた営業がいたとしよう。その営業が会うなり、
「私を信用してください」
と言ったとしよう。
「この商品は絶対に買わないと損です。いかがでしょう?」
と。
しかし、この営業が言っていることを信用する人は少ないはずだ。過去と時間を共有していない相手を信じるのは簡単ではない。それどころか初対面で「信用してください」と言われたら、多くの人は嘘くさいと感じる。
だからお客様に信用してもらうために、過去の実績を強調する。会社がどれぐらい歴史があるか。取引先がどれほど多いか。この商品の業界シェアがどれほどのものか。数字を使って力説する。しかし、
「私を信用してください」
と言われた場合は、その人との過去を共有していない以上、簡単ではない。だから営業はまず関係を構築する必要がある。そのために約束を守ることだ。お客様から期待されたことをキチンと期待通りにやる。そうすることで、お客様は「この営業は信用できる」と受け止めるのだ。
■期待と信頼の違いとは?
ちなみに期待と信頼は違う。期待も信頼と同様に、未来に対しアテにすることだ。しかし信頼とは受け止め方のレベルが違う。
たとえば野球の解説者とゲストがいたとしよう。
見知らぬ選手がバッターボックスに入ってきた。解説者がゲストに尋ねる。
「次のバッターはどうでしょうか?」
もしもそのバッターの実績を熟知しているゲストなら、
「彼は打ちますよ。得点圏打率も高いですしね。非常に信頼できるバッターです」
このように言えるだろう。「信頼」という表現がここでは使われた。いっぽう、まったく知らないバッターだったらどうか。過去の実績がわからないが、
「体も大きいですし、構えも堂々としています。これは期待できますよ」
とは言える。つまり信頼はできないけれども、期待はできるというわけだ。では何を手がかりにして人は期待するのだろうか。それは印象であろうと私は思う。
いかにも打ちそうな雰囲気を醸し出しているバッターなら「期待できますよ」と言うことはできる。だから営業相手でも、期待してもいいような印象を醸し出しているか。それが大事だ。
つまり自信がつく5つのステップというのは、以下のとおり。
1)印象
2)期待
3)実績
4)信用
5)信頼
自信(自分を信じて頼る)を持つためには、まず過去の自分を信用できるかが問われている。なので自分の力で実績を作ればいい。自信はできなくても、それぐらいはできるはずだ。
高い目標を達成しなくてもいい。自分で作った行動計画をやり切る。それだけで実績作りになるのだ。自分との約束を守ったことになるので、自分で自分を信用することになる。
■「3・6・9」の仕事術
確実に実績を積み重ねるために、私がお勧めするのは、印象のいい行動計画を作ること。本当にその計画で実績が出るのか。毎回、自分の作った行動計画を客観視しよう。そしてその印象を自問自答するのだ。
「はたしてこの計画でうまくいくのだろうか」
と。直感でいい。
たとえば上司に金曜日までにやってくれ、と言われた仕事がある。今日は月曜日だ。金曜日までにはまだ十分に時間がある。
依頼された仕事は、どんなに多く見積もっても2時間あればできそうだ。だから木曜日にやればいい。期限である金曜日当日にやってもいいかもしれない。
事前に、このような計画を立てたとしよう。はたしてこの計画の「印象」はいいだろうか。たしかに作業時間は2時間ぐらいかもしれない。しかし上司の要望を完全に反映できるだろうか。「誰がこんな風にやれと言った。そうじゃないだろう」と指摘される可能性はないだろうか。そのようなリスクを考えると、別の計画のほうがいいかもしれない。
今日は月曜日。依頼を受けたその日のうちに仕事の【3割】をやってしまうのだ。まず手を付けてみないとわからない仕事も多い。そして依頼者である上司に、3割終えた時点で確認をとる。おそらく「ここはこうしたほうがいい」「言葉足らずだった。こういう風にしてくれないか」と追加オーダーをもらうことだろう。
大半の依頼者は、依頼した仕事の完成イメージを持っていないからだ。
上司からのアドバイスにしたがってやり直し、翌日の火曜日には、その仕事の【6割】までやる。そしてまた依頼者である上司に確認をとるのだ。
続いて翌日の水曜日もしくは、期限の前日である木曜日に【9割】までその仕事を仕上げ、そして依頼者である上司に最終確認をとる。おそらく、
「だいたい、いい感じにできているな。最後に、ここだけは修正してほしい」
などと言われる。なので、指摘されたことを反映させ、そのまま木曜日もしくは期限当日である金曜日にやり終えて上司に提出する。
事前にこのような計画を立てていたらどうだろう。どんな印象を自分は抱くだろうか。かなり高い確率で上司から合格点をもらえる。おそらくそういう印象を覚えるのではないか。
もちろん印象というのは、アテにならないものである。印象がよくても、「よい計画」とは限らない。とはいえ、ほとんどの人が計画の印象さえも確認せずに仕事をはじめてしまう。だから印象だけでも確認するのは、すごくいい習慣だ。
このように、印象のいい計画であれば実績を残す可能性が高くなる。
(ちなみに、最も印象が悪いのは計画そのものがないことである)
■まとめ
繰り返す。自信を持つためにはどうすればいいのか。まずは自分を信じればいい。ゴールは自分を信頼できるようになることだ。そのためには実績を積み上げて自分を信用できるようにすることが先決。なので信用するためには実績作りが必要であり、実績作りのためには期待できる、印象のいい行動計画を作ることだ。
再掲する。自信がつく5つのステップというのは、以下のとおり。
1)印象
2)期待
3)実績
4)信用
5)信頼
この5ステップを繰り返すこと。そうすることによって、確かな実績が積み上がる。自分を信用し、信頼することができる。誰でも確実に自信を身につけることができる。
自信というのは感覚的に身につくものではない。再現性のあるテクニックによって正しく獲得できるのだ。この5つのステップを参考にして、多くの人に自信をつけてほしい。
不確実性の時代が続いていく。自信をなくしていては、どんな仕事もうまくいかない。どんなビジネスに、どんな仕事に就こうとも、成果を出すことはできないのだから。