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読売に入団したウォーカーはNPBでも打てるのか。2021年は独立リーグで打率.320と33本塁打

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウォーカーは2012年のドラフト3巡目・全体97位(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 読売ジャイアンツに入団したアダム・ウォーカーは、独立リーグのアメリカン・アソシエーションで2年続けてMVPを受賞した。ミルウォーキー・ミルクメンの外野手としてプレーし、昨シーズンは57試合で打率.268と出塁率.320、22本塁打、OPS.929、今シーズンは100試合で打率.320と出塁率.369、33本塁打、OPS1.004を記録した。それぞれのシーズン盗塁は3と24だ。現在の年齢は30歳。2012年のドラフトでミネソタ・ツインズから3巡目・全体97位指名を受けてプロ入りし、メジャーデビューはしていない。

 ウォーカーのパワーは、おそらく本物だろう。2013~16年は、4年続けて25本以上のホームランを打っている。そのうち、2015年はAAの133試合で31本塁打を記録した。

 一方、アプローチには疑問符がつく。ここ2年の四球率は6.6%と4.9%だ。2018年はAAで四球率15.2%を記録したが、このシーズンは145打席だった。200打席以上の9シーズンは、いずれも四球率9.5%未満に終わっている。しかも、7シーズンは8.0%に届いていない。

 また、2018年も含めた2012~21年の10シーズン中、三振率28.0%以下は2度。Aでプレーした2013年の20.8%と、今シーズンの19.6%しかない。三振率30.0%以上のシーズンは6度を数え、2016~18年は3年連続で35.0%を超えた。打率も高くなく、10シーズン中7シーズンは.250以下。他の3シーズンは、2013年が.278、2020年が.268、今シーズンは.320だ。

 今シーズンの三振率19.6%と打率.320は、明らかに他のシーズンとは異なる。アプローチを変えた、あるいはアプローチが洗練されたということなら――日本プロ野球に適応する必要はあるものの――継続することも考えられるが、そうではなく、今シーズンはたまたまだった、という可能性もある。

 今シーズン、ウォーカーの33本塁打はアメリカン・アソシエーションで最も多く、300打席以上を記録した63人中、OPS1.004は4位、打率.320も14位に位置した。ただし、出塁率.369は38位に過ぎない。

 ちなみに、この63人のなかには、ロジャー・クレメンスの息子、三男のケイシーもいる。こちらは、77試合で打率.278と12本塁打ながら、出塁率はウォーカーより高い.371を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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