2023年ベストラーメンTOP10!全国のラーメンを食べ歩くラーメンライターが厳選
今回は、2023年に私が食べたラーメンの中で、特に思い出に残った10店をご紹介したい。
ベスト10を決めるにあたって、何度か訪れているお店(リピート店)は除外させていただき、あくまで私が今年初めて訪れたお店に限定し、何とか10店に絞ってみた。ぜひ食べ歩きの参考にしていただければ幸いだ。
第10位.純麦(住所非公開)
2023年4月にオープンした住所非公開・完全予約制のお店。メニューは「純麦御膳」(¥4356)の一つだけ。
店主は名店「ほん田」「麦苗」出身の女性店主・矢嶋純さん。
前菜(ゴマカンパチやラーメンダシの茶碗蒸しなど)、サラダをゆっくりいただきながら、ラーメンを待つ。
こちらがメインの「らぁ麺」。
具はチャーシュー、ワンタン、ネギ、三つ葉。麺は自家製の太め手もみ麺。鶏、豚の動物系に乾物や煮干しを合わせたダブルスープでとても芳醇。ここに手もみ麺が非常によく合う。
この後、黒毛和牛の乗ったご飯、デザートが出てくる。
ラーメン店の数々の壁を自分なりに捉えて答えを出したお店。美味しく楽しくて、満足感も抜群。まさにここでしか体験できない空間。ラーメンだけを冷静に見てもかなりのクオリティだ。
第9位.ワンタンメンの満月 三鷹店(三鷹)
2大ラーメンイベント「東京ラーメンショー」「大つけ麺博」が初コラボし、「日本ご当地ラーメン総選挙」が開催。山形の「酒田ラーメン」が初代の日本一に輝いた。ここは都内で酒田のワンタンメンが食べられる貴重なお店。
こちらが「煮たまご入りワンタンメン」。
具はチャーシュー、ワンタン、メンマ、ネギ、味玉。麺は中太ストレート。
煮干の旨味がしっかりの清湯スープにまろやかな醤油ダレを合わせる。本当に美味しい。噛みごたえのあるチャーシューに、極薄ふわとろのワンタンも最高。
町をあげての汗と涙と歴史が物語る日本一。大会を通じてこういうご当地ラーメンが毎年ブレイクしていってほしい。
第8位.ラーメン屋(山口・徳山)
山口県は隣接する県に特徴的なラーメンがたくさんあるので、それぞれの文化が入ってくることでいろいろなラーメンが混在して大変興味深い。
ここは山口県・徳山にある豚骨ラーメンの老舗。ほんのりと豚骨の熟成臭がする。
こちらが「ラーメン」。
具はチャーシュー3枚、メンマ、青ネギ。麺は細めストレート。
ほんのりと豚骨の熟成感のあるスープはまさに至高。じんわり骨感を感じるスープに柔らかく茹でられた麺。そして程よいバラのチャーシュー。メンマはコリっと歯応えあり。
なんという旨さ。これは豚骨ファンはマストで行ってほしい。これぞ隠れた名店。
店主さんご高齢なので、ムリせずマイペースに続けていただけたら嬉しい。
第7位.食堂ニューミサ(新潟・上越)
1967年オープンで1991年から現在の地で営業する上越市の味噌ラーメンの名店。ロッジのような外観で国道沿いのドライブインのような大箱のお店。『ミシュランガイド新潟』掲載店。
こちらが「みそラーメン」。
具はタマネギ、ひき肉、モヤシ。麺は太めストレートの自家製麺。豚、鶏、カツオ節、野菜などでとったスープに白味噌を合わせ、生ニンニクを加えて、野菜と共に煮込むのがミサ風。
動物系で厚みのあるコクのある味噌スープで、ここにニンニクが効いていて中毒性も最高。プリプリの麺もいい主張で、クタッとした野菜との食感のコントラストも良い。
雪国の味噌ラーメンにピッタリなビジュアルと美味しさ。まさにオンリーワンな一杯。
第6位.Japanese Ramen 五感(池袋)
2023年4月オープンの話題の新店。『TRYラーメン大賞』新店大賞総合2位受賞店。開店から1年待たずに『ミシュランガイド東京』のビブグルマンも受賞。「一風堂」の力の源ホールディングスに12年勤められた方の独立店。
こちらが「特上醤油らぁめん」。
具は山形豚ロースチャーシュー、鳥取産大山鶏胸肉チャーシュー、岩手産鴨胸肉チャーシュー、ワンタン、味玉、国産糸島メンマ、海苔、九条ネギ。すべて純国産。麺は大成食品製の特注麺。
名古屋コーチンをベースに岩手県産いわいどり、鳥取大山鶏、みつせ鶏を使い、天然羅臼昆布を加えたスープ。無化調、酵母エキス不使用で、醤油は5種使用。
とんでもない旨さ。鶏清湯系なのだが、その辺のラーメンが裸足で逃げ出すクオリティ。あくまでダシメインで、醤油もとてもまろやかで全体のバランスが絶妙。
3種のチャーシューもそれぞれ特徴的で美味しく、岩手鴨を使ったワンタンも絶品中の絶品。ノリの香りまでも最高。
とても新店とは思えない風格とクオリティに驚きを隠せない。
第5位.らーめん 鉢ノ葦葉(三重・四日市)
三重県・四日市にある横綱店。
店主は小田原出身だが、奥様の実家の四日市に移住し、ラーメン店を開業。社員食堂で修行をしたという珍しい経歴の持ち主。
こちらが「らー麺(塩味)」。少し緊張感の漂う店内は名店の風格バッチリ。
具は豚肩ロースチャーシュー、熊野地鶏チャーシュー、ワンタン、メンマ、ネギ、小松菜、焦がしタマネギ。麺は細めストレートの自家製麺。
熊野地鶏をベースに煮干しなど魚介を合わせた極上スープ。ダシの複合的な旨味と塩のまろやかさで昇天レベル。そこに合わせる麺はしなやかで小麦の旨味を感じる極上の自家製麺。デフォルトのラーメンながら、具材も豪華でとても贅沢な一杯。全て美味しかったが特にワンタンが最高。感動だ。
一杯で人を呼べる感動モノの一杯。
第4位.桜上水 船越(桜上水)
2023年1月にオープンした話題の新店。『TRYラーメン大賞』新店大賞受賞店。店主の船越さんは「渡なべ」出身。
こちらが「ワンタンメン(塩)」。
具はワンタン、チャーシュー2種、ほうれん草、ネギ、メンマ。麺は極太の手もみ麺で三河屋製麺製。
豚白湯の出汁感の強い濃厚スープで、塩角がいい感じにマスキングされており、とんでもない美味しさを放つ。尖った感は全く出さず、じんわりまとめているのに、突き抜けるような旨さに圧倒される。極太麺にもしっかりと絡み、多めのネギもいい清涼感。
吊るし焼きチャーシューの香ばしさや、皮がツルツルで餡のしっかり入ったワンタンも最高の仕上がり。
落ち着きを放ちつつすごく個性的でオリジナリティがあり、令和の時代にこういう新店がオープンしたことに喜びを隠せない。長く愛されること確定の、もはや横綱級の落ち着きすら感じる一杯。
第3位.中華そば処 琴平荘(山形・鶴岡)
山形県・鶴岡の名店中の名店。
1965年に「旅館 琴平荘」として創業。 旅館の閑散期である冬期の集客を目的として、2002年から「中華そば処 琴平荘」の営業をスタート。旅館としての営業は終了したが、ラーメンを求めて全国からファンが集まる。営業は10/1〜5/31限定だ。
こちらが「中華そば こってり」。
具はチャーシュー2枚、メンマ、ノリ、ネギ。麺は太めの自家製麺でボコボコ感が独特の食感。
昆布とシイタケがバチンと効いたスープは、じんわりとエビやカニの味わいも感じる。清湯ながら奥行きが素晴らしく、感動。とんでもない美味しさだ。ボコボコの麺もいい主張でこれぞ自家製という感じで嬉しい。
チャーシューはしっかり肉感があり、ノリの磯の香りも昇天レベル。まさにここでしか食べられない一杯だ。
毎年味が変化するのがまた楽しいと聞くが、本当に完成された一杯と感じた。またぜひ食べに来たい。
第2位.ラーメン ひかり(光)(川越)
埼玉のつけ麺の横綱店「頑者」系列のお店。決してアクセスのいい場所ではないが、行列ができている。
昼と夜でスープが変わり、昼は豚骨、夜は魚介豚骨スープとなる。筆者は昼に訪問。
こちらが「ラーメン」。
背脂いっぱいのスープにチャーシュー、味玉、メンマ、ネギ、ノリ。麺は太めストレートの自家製麺。
ノスタルジックな味わいの背脂ラーメンだが、強めの醤油と甘めの背脂が最強マッチ。背脂は細かくて上質で、自慢の麺のパワーも素晴らしい。1枚ずつ炙ったチャーシューも香ばしくて柔らかくて絶品だ。
日本人のDNAに刺さりまくる極上の一杯。「さすが頑者!」と唸らされる横綱店だ。
第1位.Dad’s Ramen 夢にでてきた中華そば(自由が丘)
2022年7月オープン。「煮干し Noodles Nibo Nibo Cino」の2号店。
店主さんは元よしもと芸人で、「伊藤 銀座店」で4〜5年店長を務められていた方。
こちらが「夢にでてきた中華そば」。一杯2000円と振り切った価格。
具は黒毛和牛ローストビーフ、岩中豚トロ肉、九条ネギ、刻み紫タマネギ、ノリ。麺は細めストレートの「伊藤」製。
煮干の旨味がバキバキに効いた清湯スープに、「伊藤」のパツンとした低加水の麺が最高に合う。さらに軍鶏ロックや羅臼昆布を合わせて旨味を倍増させている。上品ながら荒々しい旨味でこれぞラーメンと唸らされる。
お肉はただ豪華ということだけではなく、質がとにかく良く、スープとの相性が素晴らしく良いので、最高のトッピングになっている。
特別な日に食べたくなる一杯で、食べた後の幸せ感は2023年トップということで1位にさせていただいた。
なお、こちらのベスト10は私がパーソナリティを務めるインターネット番組「ラーメンミュージシャン井手隊長の 今3時?そうねだいたいね」でも紹介しているので、ぜひYouTubeでもチェックしてみてほしい。
※写真はすべて筆者による撮影