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三振を喫した打者が、三振を奪った相手にそのボールをプレゼントする。直筆サインとメッセージ入り

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)May 23,2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月23日、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は6打席に立ち、5打席目に空振り三振を喫した。

 ゲレーロJr.は、そのボールに、サインとともに「やられたよ」とメッセージを書き込み、三振を奪った相手にプレゼントした。

 どの三振の時も、そうしているわけではない。当然だろう。ゲレーロJr.は三振の多い打者ではなく、各シーズンの三振率は16%前後だが、過去2シーズンとも、三振の数は100を超えている。

 ゲレーロJr.から三振を奪ったのは、ルーク・レイリー(タンパベイ・レイズ)だ。「4番・一塁」として出場したレイリーは、9点ビハインドの8回表からマウンドに上がった。スタットキャストによると、ゲレーロJr.に対して投げた4球の球速は、それぞれ、50.3マイル(見逃し/ストライク)、50.0マイル(見逃し/ストライク)、48.7マイル(ボール)、50.0マイル(空振り)だ。

 もっとも、ゲレーロJr.も、やられっぱなしだったわけではない。9回表も続投したレイリーから、今度は満塁本塁打を打ち、1試合3安打&6打点とした。こちらは、初球が52.0マイル(ボール)、2球目は52.3マイル(ホームラン)だ。

 順序としては、空振り三振、グランドスラム、三振を喫したボールのプレゼント、ということになる。

 ゲレーロJr.がレイリーから打ったのは、今シーズン8本目のホームランだ。それまでは、5月3日~4日の2試合連続ソロ本塁打を最後に、13試合続けてホームランが出ていなかった。ちなみに、他の7本塁打は、すべて本職の投手からだ。

 一方、レイリーが奪った三振は、他に皆無。4月27日にも登板しているが、この時は、奪三振も被本塁打もなかった。5月23日は、ゲレーロJr.の次の次の打者、マット・チャップマンにもホームランを打たれた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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