ギラヴァンツ北九州:池元友樹、勝利呼ぶ4試合連続弾! クラブはJリーグ戦通算100勝
J3ギラヴァンツ北九州は7月8日、ミクニワールドスタジアム北九州でグルージャ盛岡と対戦し5-1で快勝。この勝利はギラヴァンツのJリーグ通算100勝の節目となった。2ゴールを挙げたキャプテンのFW池元友樹は「たくさんの人たちのお陰で100という数字になった。これからもっと勝利を増やしていけるように頑張りたい」と決意を新たにした。連敗は2でストップし、順位は暫定6位に浮上している。
明治安田生命J3リーグ第16節◇北九州5-1盛岡【得点者】北九州=花井聖(前半37分)、水永翔馬(同42分)、池元友樹(後半5分、同13分)、刀根亮輔(同48分) 盛岡=谷村憲一(前半13分)【入場者数】4857人【会場】ミクニワールドスタジアム北九州
先制許すも、前半のうちに逆転
豊富な運動量を背景にボールを繋ぐ盛岡に対して、ギラヴァンツは個の力と攻撃の総合力で襲いかかった。しかし、結果的には5得点快勝となるもののゲームの入り方は悪く、前半20分過ぎまではセカンドボールを回収できずカウンター攻撃を浴び続ける。その間の同13分には、盛岡のストロングポイントのボールポゼッションに対応が遅れ、FW谷村憲一に先制点を許した。
ゲームが盛岡に傾きかけていたが、同21分にギラヴァンツが敵陣内でFKを獲得。得点には至らずともDF浦田樹がキッカーとなったFKを境に流れを引き寄せ、左サイドを中心とした組み立てがスムースになる。前向きなプレーが増えたことでセットプレーを得る機会も増加。CKやスローインなどからチャンスを作っていくと、同37分、相手陣内で再びFKのチャンス。今度はMF井上翔太が鋭く入れ、守備の間から飛び込んだMF花井聖がゴールに押し込んだ。「いいボールが来たのでディフェンスラインの裏を抜けることを意識した。あとは触るだけだった」(花井)。その5分後にはMF川島大地のグラウンダーのクロスからFW水永翔馬が落ち着いてネットを揺らし、ギラヴァンツが前半のうちに逆転に成功する。
ハーフタイムで原田武男監督は「もう一度0-0の気持ちを持ち、攻守でハードワークをベースにしていこう」と指示。前半の轍を踏まず、後半は頭からギラヴァンツがゲームを動かす。
後半5分、再び川島が低いクロスボールを供給すると、今度はFW池元友樹が収めループ気味に浮かせてゴールイン。「次の1点を取っていれば(勝てた)という試合が続いていた。どうしても早い時間帯でもう1点を取りたかった」。強い使命感を抱いたエースは両腕を突き上げて喜んだ。さらに同13分にも池元が相手GKを追い越すロングシュートを突き刺し4-1、勝利を決定的なものにした。池元は10ゴール目となりゴールランキングでリーグ暫定トップタイに立った。
今季もギラヴァンツはゲーム最終盤の失点が多く、勝ち点を逃す試合が目立つ。上位進出にはゲームの閉じ方が課題で、「残り20分の戦い方はミーティングでも話していた。引き込んでしまうとピンチが連続する」(川島)という状況をいかに作らないかが次なる注目点となった。
原田監督も「70分、75分以降の戦い方」を意識させてきた。だが、後半25分以降の試合を見ていくと、まだ宿題をクリアできたとは言えない。時計の進行とともに失速し、アーリークロスを入れられたり、サイドをえぐられるなどして、盛岡のFW谷口堅三にシュートを打たれる回数が増える。手元の集計ながら、盛岡の全シュート数13本のうち5本が最後の20分に集中。さらにそのうち3本は枠方向に飛びGK山岸範宏のセービングに救われている。
とはいえ山岸や守備陣の集中で失点を防ぐと、ギラヴァンツは最終盤のCKにDF刀根亮輔がヘディングで合わせさらなる突き放しに成功。3試合ぶりの勝ち点3を手にした。もちろん課題に目を瞑っていいわけではなく、DF加藤弘堅は「残り20分は、ここ2、3試合に比べれば良かったとは思うが、もう少し自分たちの時間帯で終われればと思う。先制点も取られているので全てが良かったとは言えない」と引き締めた。
通算100勝。今季前半戦は課題多く
今節の勝利がギラヴァンツのJリーグ戦100勝目となった。現在のチームでその100勝に最もコミットしているのは、ギラヴァンツで212試合に出場し57得点を挙げている池元友樹。100勝の端緒となった10年3月21日の東京ヴェルディ戦にも後半からピッチへ。「今いるメンバーだけでなく、今まで携わってきた選手やスタッフ、たくさんの人たちのお陰で100という数字になった。またこれから、自分もそうだが、今いる選手がもっとギラヴァンツのためにプレーし、もっと勝利を増やしていけるように頑張りたい」と力が入る。今季から指揮を執る原田武男監督は「こういった勝ち方ができたのは良かった。一つの歴史に残ったと思う。ただあくまでも通過点。この先を考えてさらなる歴史が残せるようにしていきたい」と前を向いた。
101勝、102勝と積み重ねていくことが再昇格の道をひらく。ギラヴァンツ北九州はこのあと2試合がアウェー戦。そのあとは約1カ月間の中断期間が入り、次のゲームは8月19日の藤枝MYFC戦となる。指揮官は中断期間での修正がカギになると睨み、「(前半戦の出来には)誰も満足していない。現状としては続けていくしかないが、今日を含めて中断前の3試合が重要で、まずは最初の試合をものにしようと選手に伝えていた」と話す。修正の追いついていないポイントを中断期間中にてこ入れできるかが今後の勝利数を左右するだろう。
今節は大勝で閉じることができた。水永翔馬と池元友樹、それに井上翔太との関係性が良く、両サイドやMF内藤洋平からの供給も好機を作った。とはいえ、ここまでの試合を振り返れば、良くも悪くもJ3のサッカーに浸かってきている印象は拭えない。先発メンバーはJ2リーグを戦っているような顔ぶれだが、イージーミスが連続したり、昨季からの課題だったゲーム最終盤の戦い方が改善できなかったりと内容面は苦しい。次週からのアウェー2試合での劇的な改善は難しいものの、今節見せたような攻撃面の良さと勝ちにこだわる姿勢を示して中断期間に入っていきたい。
豪雨災害:ミクスタで募金活動実施
ギラヴァンツ北九州は7月8日の試合で、九州北部地方を襲った豪雨災害に関する募金活動を実施。試合前には犠牲者に黙とうを捧げた。原田武男監督は「朝倉地域へは頻繁に行っていた。これまで見ていた景色とはすさまじいほどの変わりようだった」と沈痛な表情を浮かべ、「サッカーとは比較はできないが、今日の自分たちの試合では、最初は押し込まれていても前向きに続けることが勝利に繋がった。言葉で言うのは簡単だが、被災された方には前を向いて、前向きに頑張ってほしい」と話した。
ギラヴァンツ北九州のホームゲームに関しては2試合に1回程度の予定でゲームレポートを載せている。スタイルはJリーグ公認ファンサイト「J’s GOAL」でマッチレポートが掲載されていた時期(14年度まで)のものや、「九州J-Park」に掲載していたものを踏襲している。