登板中の右投手が、左の薬指から結婚指輪を外し、首から下げる。験担ぎではなく…
6月18日、1回表のマウンドに上がったグラハム・アッシュクラフト(シンシナティ・レッズ)は、1点を取られたものの、その後、1死二塁から2人続けてアウトに仕留め、イニングを終わらせた。
ダグアウトへ戻る前に、アッシュクラフトは、異物を付着させていないかどうかを、一塁塁審のジョン・タンペインにチェックされた。アッシュクラフトが差し出した右手に続き、タンペインは左手を調べながら、薬指の結婚指輪を指差し、外すように指示した。
ルールが変更になったわけではない。ただ、つい最近、厳格に適用することが決まった。アッシュクラフトは右投手だ。左手にはグラブをはめている。また、指輪は金属製ではなく、黒いシリコン製だ。指輪というよりは、バンドに近い。
次のイニングが始まる前に、アッシュクラフトは、指輪をネックレスのチェーンに通し、首から下げた。メンタルも含め、投球に影響があったのかどうかは、わからない。2回表は無失点、3回表は3失点。4回表と5回表は無失点。6回表に最初の2人を出塁させたところで降板し、代わった投手が二塁打を打たれ、アッシュクラフトの失点と自責点は6に増えた。
指輪ではないが、今から21年前、マウンドに上がったアーサー・ローズは、ダイヤのピアスを外すように言われた。
2001年8月25日のことだ。佐々木主浩と交代したローズは、オマー・ビスケルに対して投げるはずだった。けれども、その前に、ピアスに日光が反射して眩しいから外させてくれ、とビスケルが球審に訴えた。そこから、両チームは、乱闘寸前になった。その後、ピアスを外したローズは、ぶつけるぞと言わんばかりにビスケルの頭を指差し、投球前に退場を宣告された。
なお、今回、アッシュクラフトに指輪を外させたタンペインには、こんなエピソードもある。