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ダルビッシュのノーヒッターを阻んだ3人に共通点はあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター

5月9日のボストン・レッドソックス戦で、ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)があと1アウトに迫りながらノーヒッターを逃した。ダルビッシュがメジャーリーグで9回2死までノーヒッターを演じたのは、2013年4月2日のヒューストン・アストロズ戦に続いて2度目。8回を迎えてノーヒットだった試合は3度目となる。ダルビッシュは2013年8月12日のアストロズ戦で、8回1死までノーヒットを続けた。

ダルビッシュのノーヒッターを阻んだのは、アストロズのマーウィン・ゴンザレスとカルロス・コーポラン、そして、デビッド・オティーズの3人だ。彼らに共通点はあるのだろうか。

プロフィールはまったく違う。ノーヒッター阻止時のゴンザレスはメジャーリーグ2年目の24歳、コーポランは4年目の29歳、オティーズは18年目の38歳。出身地はベネズエラ、プエルトリコ、ドミニカ共和国で、いずれもカリブ海に面した国だが、まさかラテンの血がヒットを打たせたわけではあるまい。

ゴンザレスは遊撃をメインとする内野手、コーポランは捕手、オティーズはDH。オティーズ以外はスイッチヒッターで、3人ともダルビッシュと対戦する時は左打席に入る点は共通している。ただ、ダルビッシュの被打率は過去2年も今シーズンも対左の方が高いが、いずれも.235未満と苦手にはしていない。

3人のダルビッシュとの対戦成績は、ゴンザレスが通算6打数2安打、コーポランが11打数1安打、オティーズが7打数2安打。ノーヒッター阻止前に限ると、2打数0安打、8打数0安打、6打数1安打となる。対戦回数がさほど多くないせいもあるが、これといった共通項はない。コーポランとオティーズはダルビッシュから1本塁打ずつ記録しているが、ノーヒッターを阻んだコーポランの本塁打は対戦9打席目で、オティーズは初めて顔を合わせた2013年5月5日の初打席に放った。

ちなみに、ダルビッシュとの対戦が10打席以上ある打者のうち、打率.400以上を記録しているのは、ダリック・バートン(オークランド・アスレティックス)、エドウィン・エンカーナシオンとコルビー・ラスマス(トロント・ブルージェイズ)、イチロー(ニューヨーク・ヤンキース)の4人。一方、打率.000はハウィ・ケンドリック(ロサンゼルス・エンジェルス)、クリス・カーター(アストロズ)、オースティン・ジャクソン(デトロイト・タイガース)、カルロス・ペーニャで、こちらも4人。本塁打はブランドン・モス(アスレティックス)とマイク・トラウト(エンジェルス)が4本ずつ放っていて、3本のマット・ドミンゲス(アストロズ)が続く。

話が逸れたが、結論としては、ダルビッシュのノーヒッターを阻んだ3人に、目につく共通点は見当たらなかった。ただ、この3試合に出場した選手は、ダルビッシュ以外に4人いる。そのなかの3人、エイドリアン・ベルトレー、エルビス・アンドゥルース、ミッチ・モアランドは3試合ともダルビッシュのチームメイトとして出場したが、A.J.ピアジンスキは最初の2試合がレンジャーズ、3試合目はレッドソックスの選手としてプレーした。ピアジンスキはマスクをかぶってダルビッシュをリードしたのに続き、2014年5月9日の試合では見逃し三振と内野ゴロ2本に倒れ、こちらでも、ノーヒッターまであと一歩に迫るダルビッシュの快投をアシストする格好になった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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