次世代宇宙ステーション「オービタル・リーフ」2020年代後半より稼働予定、三菱重工業も協業を発表
2020年代後半に次世代宇宙ステーション「オービタル・リーフ」が建設される予定です。本記事では、三菱重工業も協業を発表している、オービタル・リーフについて詳しく解説していきます。
■宇宙に浮かぶ複合型ビジネス・パーク「オービタル・リーフ」
オービタル・リーフは、宇宙旅行をはじめ、宇宙でしかできない実験や技術実証など、新たな宇宙市場を開拓することを目的としています。2021年10月、ニューシェパードなどの宇宙船を開発したブルーオリジン社と、ドリームチェイサーを開発中のシエラ・ネヴァダ・コーポレーションが建設計画を発表しました。
オービタル・リーフは2020年代後半から段階的に運用を開始する予定です。最初のステップでは、電力システム・コアモジュール・居住棟・科学研究棟・船外活動用宇宙船の構成からスタートします。周回する軌道は高度500kmを予定しています。内部体積は830立方メートルであり、最大10人が居住可能です。その後、「エネルギー・マスト」と呼ばれる太陽電池パドルを追加することで、より巨大化する見通しです。
オービタル・リーフの内部には地球が良く見える大きな窓が設けられる予定です。旅行者は1日に16回、日の出と日の入りを見ることができ、微小重力下で地球の美しさを見ながら快適に過ごすことができます。
■多くの企業による協力で建設するオービタル・リーフ
1.ブルー・オリジン:オービタル・リーフの中心部や生命維持システムの開発を担当します。また、開発中の大型ロケット「ニュー・グレン」を使い、モジュールの打ち上げも担当します。
2.シエラ・スペース:開発中の小型スペースプレーン「ドリーム・チェイサー」による物資輸送サービスを提供するほか、膨張式のモジュールも開発します。
3.ボーイング:科学研究用のモジュールの開発のほか、ステーション全体の運用を担当。また、開発中の有人宇宙船「スターライナー」による人員の輸送も担います。
4.レッドワイヤー・スペース:微小重力環境を利用した研究、開発、製造などの機能を提供。
5.ジェネシス・エンジニアリング・ソリューションズ:小さな宇宙船のような船外活動服を開発し、ステーションのメンテナンスや宇宙観光に使用します。
■日本からは三菱重工業も建設に参戦!
三菱重工業も「オービタル・リーフ」の開発に協業することが発表されています。三菱重工業は、JAXAとともにH3ロケットの運用を行っているのに加え、国際宇宙ステーションとの関わりも深く、これまでに日本実験棟「きぼう」の建設や宇宙ステーション補給機「こうのとり」の9回連続打ち上げ成功といった成果をあげています。またライフサイエンス実験に関しては、人工重力発生装置と個別飼育可能なケージを「きぼう」に供給し、これまで計5回のミッションでマウスの全数生存帰還を連続で達成しています。
日本がISSで得た知見を活かし、オービタル・リーフが実現する将来が楽しみですね。
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