会見で「全員攻撃、全員守備」を決め台詞にした森保監督の言語感覚
「安倍内閣の関係閣僚はまさに全員野球の精神で内野外野の区別なく改革に向けた具体的な検討を……」。内閣改造を終えた安倍首相は、会見でそう述べたという。「全員野球」。5年ぶりなのか、10年ぶりなのか、記憶にないほど久々に聞く台詞だ。世間的にどうなのか定かではないが、個人的には死語に相当する。
サッカーで言うなら「全員サッカー」。こちらも死語だ。全員サッカーの精神で……と述べる指導者、解説者、評論家に、かれこれ10年以上、遭遇したことはない。いまさら口にする必要がないほど、日本全国津々浦々に浸透している当たり前すぎる話。それだけに驚かされたのが、先日の代表選手発表記者会見で、森保監督が口にした台詞だった。
「全員攻撃、全員守備」
会見で、チーム作りのテーマを問われ「チームを成長させていくコンセプトを浸透させていきたい」と答えた森保監督だったが、別の記者から、そのコンセプトとは何かと問われると、答弁に時間制限があるわけでもないのに「ザックリとですが」と断りを入れ、そして全員攻撃、全員守備のワンフレーズを口にした。
冗談かと耳を疑った。こちらも死語だ。少なくとも10年以上、こちらには原稿に書き記した覚えはない。全員攻撃、全員守備が浸透していなかった30年前ならいざしらず、いま新監督のコンセプトとして耳にすると、昭和のど真ん中を生きている錯覚に陥る。
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