(べっぴんさん、校閲ガール、黒い十人の女etc) 秋クール 新作ドラマ 第一話レビュー(その1)
秋ドラマ 一話レビュー その1(10月8日まで)
2016年秋クールのドラマの初回をレビュー。
みどころを簡潔にまとめているので、参考にしてください。
NHK
連続テレビ小説 べっぴんさん 第一週
http://www.nhk.or.jp/beppinsan/
月~土 8:00~8:15
神戸を舞台にした朝ドラ。
第一週はヒロインの幼少期を描いており、母との死別と、刺繍好きという、今後のヒロインのキャラクター像を形成する要素が、しっかりと描かれている。
近年の朝ドラの必勝フォーマットを取り入れていて、破たんなく進むのだが、泣かせること、感動させることが目的化してるのが気になる。主演の芳根京子と彼女の親友を演じる百田夏菜子(ももいろクローバーZ)、土村芳の三人の女学生がかわいいので、現在はアイドルドラマとして楽しめる。OPの芳根京子もお人形さんみたいでかわいい。
こんな人にオススメ→アイドルドラマが見たい人
忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~ (第3話まで放送)
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/chu-koi/
土曜 18:10~
若手俳優を中心とした時代劇。
武井咲の着物姿はかわいいが、それ以外の物語に関しては想定している視聴者の年齢が高いためか、ややテンポが鈍い。
忠臣蔵の世界観を横から見たような話のため、時代劇が好きな人ならそれなりに楽しめるのではないかと思う。
こんな人にオススメ→武井咲の着物姿が見たい人
夏目漱石の妻 (第3話まで放送)
http://www.nhk.or.jp/dodra/souseki/
土曜 21:00~
文豪・夏目漱石(長谷川博己)とその妻・鏡子(尾野真千子)の日常を描いたドラマ。
漱石のドラマとしては、歴史的な背景が細かく描かれていないので、若干わかりにくいが、長谷川と尾野の二人芝居をみせるドラマと考えれば楽しめる。脚本家の池端俊策は尾野真千子主演で『足尾から来た女』を書いていたため終盤で再び、足尾銅山の話になるのは同じ話を別の側面から描いているかのよう。黒島結菜もいい仕事をしている。
こんな人にオススメ→猫好き
運命に、似た恋 (第3話まで放送)
http://www.nhk.or.jp/drama10/unmei/
金曜 22:00~
斎藤工が演じるイケメンデザイナーと原田知世が演じるバツイチ子持ちのシングルマザーの恋愛ドラマ。『ロングバケーション』(フジテレビ系)等で知られる恋愛ドラマの女王・北川悦吏子が久々に連続ドラマを執筆。『セカンドバージン』以降、開拓したNHKのアラフォー向け恋愛ドラマの構造をなぞりながら、微妙にズラしているのが面白い。登場人物も増えてきて、今後どうなるのか楽しみ。今、一番ドラマらしいドラマ。
こんな人にオススメ→おもしろい会話劇が見たい人
MBS・TBS系
彼岸島 Love is over(第3話まで放送)
MBS系 日曜 深夜0:50~
TBS系 火曜 深夜1:28~
村人がウィルスに感染して吸血鬼となった絶海の孤島を舞台に繰り広げられるサバイバルアクション。画面はチープだがアクションに勢いがあって楽しめる。印象としては『仮面ライダー』よりも『牙狼-GARO-』シリーズに近い。ストーリーよりも設定とアクションをひたすら堪能するのが吉。原作漫画ファンには丸太がちゃんと登場するのが嬉しいところ。映画『彼岸島デラックス』につながる全4話のドラマとなっている。
こんな人にオススメ→丸太好き
日本テレビ系
地味にスゴイ!! 校閲ガール・河野悦子
http://www.ntv.co.jp/jimisugo/
水曜 22:00~
石原さとみというオシャレで早口でまくしたてながら働く美女が大暴れする姿をひたすら楽しむためのドラマ。
本来なら、月9が『リッチマン、プアウーマン』以降、こういうドラマを作らないといけなかったのだが、これを日本テレビ系の水10で作られたら立つ瀬がないなとフジテレビに同情した。それくらい、こんな石原さとみが見たかったと思わせるドラマ。校閲という仕事がちゃんと描かれているかどうかは判断できないので、現在は保留。
こんな人にオススメ→『シン・ゴジラ』のカヨコが好きだった人
黒い十人の女 (第二話まで放送)
木曜深夜 11:59~
市川崑の映画をドラマ化。脚本はバカリズム。船越栄一郎が演じるテレビプロデューサーと不倫する10人の女の物語。おそらくベッキーの不倫騒動があった時期くらいに企画が立ちあがったんじゃないかと思う。テレビ業界のゴシップ。水野美紀を筆頭に痛い女をクスクスと笑うあるある要素がかゆいところに手が届く感じ。
こんな人にオススメ→クスクス笑いたい人
ラストコップ
土曜 21:00~
85年に活躍した刑事が爆発事故で昏睡状態になって、30年後に目覚めて、後輩の刑事といっしょに暴れ回るというコメディタッチの刑事ドラマ。設定がゆるく、唐沢寿明と窪田正孝の掛け合いが楽しい。女優は佐々木希と桜井日奈子がいい。
こんな人にオススメ→むずかしいことを考えずに楽しみたい人
テレビ東京系
勇者ヨシヒコと導かれし七人
http://www.tv-tokyo.co.jp/yoshihiko3/
金曜深夜 0:12~
ドラクエをわざとチープな映像によるオフビートコメディに仕上げることでダウナーな笑いを誘う人気作。シリーズ第三弾ということもあって、型がすでにできあがっているので安心して楽しめる。
ただ、『アオイホノオ』以降、演出レベルが一段上がった福田雄一の最新作としては先祖がえりをしているようで、若干、かったるく感じる。ダンボールで作ったモンスターの跋扈するファンタジー的な世界観自体が壮大なボケなので、あとはシリアスにやった方が面白いのではないかと思うのだが、これはこれで楽しめる。
こんな人にオススメ→ユルい深夜ドラマを見たい人
潜入捜査アイドル・刑事デカダンス
http://www.tv-tokyo.co.jp/dekadance/
土曜深夜 0:20~
メンヘラ、コミ障といった言葉の使い方、ボーカロイドやテロップ、ナレーションの使い方が、いかにもテレ東のサブカル系深夜ドラマという感じで恥ずかしい。第一話はネットテレビが舞台であるため、おっさんがネット民に気に入られようとすること自体を揶揄しているのだが、ドラマ自体がネットにおもねっているように見えるのがつらい。第二話以降は舞台が変わるので、このあたりが修正できればいいのだが。中村蒼が好きな人なら男性アイドルドラマとしてそれなりに楽しめる。
こんな人にオススメ→サブカル深夜ドラマが好きな人
フジテレビ系
とげ 小市民 倉永晴之の逆襲
土曜23:40~
地方都市にある市役所の市民生活課、市民相談室に勤務する公務員が主人公のドラマ。
次々と押し寄せるモンスター市民からの苦情に平身低頭で対応する倉永(田辺誠一)が、最後の最後でブチ切れる場面には爽快感がある。苦情をたらいまわしにする市役所と市民のクレームの描写が露悪的なので、見ていてフラストレーションが溜まるものの、ちゃんとカタルシスが用意されているのがわかると安心してみれる。かつては昼ドラを作っていた東海テレビ制作だが、こってりとした味付けのドラマをコンスタントに発表している。今期のドラマの中では構えが一回り大きいので、続きが楽しみ。
こんな人におススメ→地方都市で暮らす人
総評
全体的に小粒で決定的な一本こそないが、どの作品も、それなりに楽しめる。特に女優の見せ方がわかっている作品が多い。朝ドラの『べっぴんさん』は別格として、『運命に、似た恋』、『校閲ガール』、『とげ』は、続きが楽しみ。
(今週放送の作品は次週掲載)