1イニングを3球で終わらせる「スリー・ピッチ・イニング」。被安打ゼロとは限らず、なかには継投も
6月26日、リリーフとして登板したフィル・ビックフォード(ロサンゼルス・ドジャース)は、7回表の2死から9回表の1死まで投げ、対戦した打者5人をいずれも討ち取った。三振、三塁ライナー、遊撃ゴロ、遊撃ゴロ、三振の順だ。8回表の打者3人は、いずれも初球を打ってアウトになった。
イニング開始から3球で3アウトの「スリー・ピッチ・イニング」は、今シーズンのメジャーリーグで3度目だ。最初の2度は、ライン・スタニック(ヒューストン・アストロズ)とジョン・グレイ(コロラド・ロッキーズ)が、それぞれ、4月3日の7回裏と5月17日の3回裏に記録した。
もっとも、この2投手は、ビックフォードのような、1球でアウトの打者が3人、ではない。スタニックはイニングの初球を打者にぶつけ、グレイは2球目(2人目)にバント安打を決められた。どちらも、直後の投球に次の打者が手を出し、併殺打となった。
ベースボール・アルマナックは、ピッチ・カウントが不明な試合もあるため、すべてではないかもしれないと断った上で、「スリー・ピッチ・イニング」の事例を挙げている。ア・リーグは84度、ナ・リーグは108度だ。それによると、最多はウォルター・ジョンソンによる4度。ジョンソンは1907~27年に417勝を挙げ、タイ・カッブ、ベーブ・ルース、ホーナス・ワグナー、クリスティ・マシューソンとともに、初代の殿堂選手となった。現役投手では、トミー・ハンター(現ニューヨーク・メッツ)が2度記録している。
また、「スリー・ピッチ・イニング」は、1投手が3球を投げて3アウトとは限らない。2000年9月30日の7回表は、マイク・ムシーナ――こちらも殿堂選手――が1球(三塁ゴロ)とB.J.ライアンが2球(三塁手の失策と5ー4-3の併殺打)だ。2012年9月9日の8回裏も、マーティン・ペレス(現ボストン・レッドソックス)がイニングの初球をシングル・ヒットにされた後、建山義紀が2球を投げ、5ー4-3の併殺打と三塁ゴロという結果になった。