2018年「受動喫煙」と決別「禁煙」元年となる
年が明けて心機一転、禁煙を初日の出に誓った人も多いのではないだろうか。喫煙者は自身の健康についてだけではなく、タバコを吸わない周囲の人の健康にも害を与える。
タバコなど吸わないですませられたら、それに越したことはないはずだ。禁煙を誓った人はこの先の人生、タバコとは無縁の生活が待っている。空気のおいしさを実感し、これから体調はどんどん良くなるだろう。
受動喫煙防止強化が争点に
2020年の東京オリパラを控え、今年は去年にも増して受動喫煙の問題が大きくクローズアップされてくるはずだ。
昨年2017年に健康増進法の改正案に入れられるはずだった受動喫煙防止強化の条例案は、自民党のタバコ族議員などの反対があり頓挫した。政府と厚生労働省は、年度内での国会成立を目指して調整中だ。
争点はいくつかあるが、最もせめぎ合っているのが小規模飲食店の禁煙についてだろう。屋内の全面禁煙に対して根強い抵抗があり、面積基準をどうするか、2017年3月に厚生労働省が条例案を出したときから議論が続いている。
大手飲食チェーンが続々と店内での完全禁煙を決めたことで、Yahoo!では昨年にインターネット上で「飲食店の全面禁煙化」についてアンケート調査を行った。その結果は下のグラフでよくわかる。ほぼ喫煙率を反映した結果ではないだろうか。
Yahoo!の意識調査「相次ぐ飲食店の全席禁煙化 あなたは賛成?反対?」(投票総数:18万6729票、実施期間:2017年11月27日〜2017年12月7日)より。
2020年オリパラに向けて
日本も加盟する「タバコ規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)」では第8条の「受動喫煙防止とガイドライン」で、加盟国政府が屋内の職場、公共の輸送機関、国内の公共の場で国民がタバコの煙から保護するように効果的な措置を講じなければならないとされている。だが、WHO(世界保健機関)は、日本の受動喫煙防止対策が世界でも最低レベルと断じた。
また、1988年からIOC(国際オリンピック委員会)は「たばこのない五輪」を推進し、今年の平昌五輪まで開催国はその趣旨に賛同し、WHO基準のタバコ規制を実施してきた経緯がある。だが、日本における受動喫煙防止強化はなかなか進まず、業を煮やした2020年大会の開催都市である東京都は独自の条例案を策定し、今年度中にも成立させる予定だ。
さらに、受動喫煙と病気との関係はすでに十分なエビデンスがあるが、世界のタバコ大手企業が受動喫煙の健康への害を認める一方、JT(日本たばこ産業)は依然として否定し続ける。おそらく今年、政府や厚生労働省によって受動喫煙防止条例が強化されれば、JTも公式に受動喫煙の問題を認めざるを得なくなるだろう。
加熱式タバコをどうするか
今年のタバコ問題では、最近になって人気が出てきた新型タバコ、いわゆる加熱式タバコについて議論が高まると予想される。これもYahoo!の意識調査によれば、受動喫煙防止条例案の飲食店での原則禁煙対象に加熱式タバコを入れたほうがいいという意見が60%以上となったが、タバコを吸わない人も含め、悩ましいところだろう。
Yahoo!の意識調査「加熱式たばこの屋内原則禁煙に賛成?反対?」(投票総数:9万7641票、実施期間:2017年12月21日〜2017年12月31日)より。
現在の健康増進法には、加熱式タバコについての定義や規制がない。このまま、規制対象から外されたままだと、飲食店はもちろん極端な話、病院や子どものいる保育園、学校などでも堂々と加熱式タバコを吸えることになってしまう。
加熱式タバコは、健康に害のある成分が少ないという触れ込みでタバコ会社が売り込んでいる。だが、こうした情報は製造販売側であるタバコ会社から出たものがほとんどだ。
加熱式タバコの成分などについては今後、第三者機関や利益相反のない研究者からはっきりしたエビデンスが出てくるだろう。明らかに害がないことがわかるまで、公衆衛生当局は加熱式タバコも規制するのが正しい判断なのである。
最後になりますが、かつての喫煙者として今年もタバコ問題について様々な視点から記事を書いていこうと思っていいます。タバコを吸う人も吸わない人も、みなさんが今年も良い年でありますように。