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メッツは開幕2戦目に先発投手を2人起用する!? その相手は昨年のワールドシリーズで敗れたロイヤルズ

宇根夏樹ベースボール・ライター
左からS・マッツ、N・シンダーガード、J・デグロム NOV. 1, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ニューヨーク・メッツの開幕投手が決まった。メッツは3月17日、「ダークナイトが幕を開ける!マット・ハービー33が2016年のオープニングデー・スターターだ」とツイートした。

「ダークナイト」はハービーのニックネームだ。バットマンの映画「ダークナイト」に由来する。2013年5月発売のスポーツ・イラストレイテッド誌は、ハービーを表紙に据えて「ダークナイト・オブ・ゴッサム」と銘打った。バットマンの舞台であるゴッサム・シティは、メッツが本拠を置くニューヨークをモデルにしている。低迷するメッツを救う騎士(ナイト)というわけだ。「33」がハービーの背番号であることは言うまでもない。

メッツの先発投手陣は充実している。キャプテンのデビッド・ライトは、開幕投手を誰にするかについて、ニューズデイのマーク・カリーグらの取材陣に「コインを投げて決めるさ」と語っていた。なかでも、ジェイコブ・デグロムは有力な候補だった。昨シーズン、デグロムが記録した防御率2.54、FIP2.70、奪三振率9.66はいずれもハービーを凌ぎ、191.0イニングもハービーより多かった。

それでも、キャリアの点ではハービーに軍配が上がる。さらに、ハービーが開幕投手を務める理由には、デグロムの事情も絡んでいる。デグロムの妻ステイシーは出産が間近で、予定日は開幕戦の翌々日だという。デグロムは出産に立ち会うつもりでいるらしく、予定日が少し早まれば、開幕戦に重なってしまう。

ということで、ハービーの開幕投手に疑問の余地はない。面白いのは2戦目だ。ESPNのアダム・ルービンがこうツイートしている。「テリー・コリンズはカンザスシティでの2試合目に先発投手を2人使うことを考えている。出産が重ならなければデグロムが先発するようだ」。デグロムともう一人の先発投手、スティーブン・マッツノア・シンダーガードバートロ・コロンのいずれかが同じ試合に投げる可能性があるということだ。

デグロムが出産に立ち会うためにチームを離れた場合に備え、先発投手を2人用意しておくだけではない。そこには、開幕直後のスケジュールがある。オープニング・シリーズは4月3日と5日の2試合のみ。その後の2日間は試合がなく、4月8日から本拠地での6連戦が始まる。なので、4月5日の試合で先発投手を2人投げさせても、6人目は必要にならない。

1試合に先発投手を2人起用する案には、リベンジの意味も含まれているというのは考えすぎだろうか。ルービンのツイートからもわかるように、メッツはオープニング・シリーズでカンザスシティ・ロイヤルズと対戦する。メッツは昨年のワールドシリーズでロイヤルズに敗れている(今シーズンのスケジュールは、ワールドシリーズの前に決まっていた)。

ロイヤルズは4月5日の試合前に、ワールドチャンピオン・リングの授与式を行う。メッツの選手たちは、自分たちが手にしていてもおかしくなかったリングが渡される姿を、目の前で見せられる。2人の先発投手が投げるかどうかはともかく、開幕戦以上に興味深い試合になりそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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