次世代の家系ラーメンが誕生? 「福岡醤油豚骨ラーメン」に注目せよ!
福岡ならではの「醤油豚骨」ラーメン文化がある
博多ラーメンや長浜ラーメン、久留米ラーメンなどの文化がある福岡は、豚骨ラーメンの街として知られているが、ここ数年でラーメンの種類が多様化しており、新たにオープンするラーメン店の半数以上が豚骨ラーメン以外の「非豚骨ラーメン」を提供する店となっている。
しかしながら、福岡では「非豚骨」ブーム以前より、豚骨ラーメンとは異なるジャンルのラーメンがあり、若者を中心に多くのファンを集めている。家系ラーメンとは異なるテイストの、福岡スタイルの豚骨醤油ラーメン。それが「福岡醤油豚骨ラーメン」だ。
スープは白濁した豚骨がメインだが、特徴的なのは九州醤油を使った甘みのある醤油ダレ。この醤油ダレによってスープの色が茶褐色となっている。博多ラーメンでも醤油ダレが使われるがスープの色は白い。麺は店ごとに異なるが博多ラーメンのような細麺を合わせるところも少なくない。
これらのラーメンを提供している店のルーツを辿ると、その多くは家系ラーメンで修業を重ねているのだが、より福岡の人たちの味覚に合わせようとローカライズして、独自の進化を遂げていったのが「福岡醤油豚骨ラーメン」の店たちだ。これらの存在が福岡に家系ラーメンが進出する下地を作ったと言っても過言ではない。
福岡醤油豚骨の人気店『博多 無邪氣』の新たな挑戦
2024年3月、博多にオープンしたばかりの新店『博多 無邪氣 SECOND』(福岡県福岡市博多区博多駅東2-4-6)は、福岡でいち早く豚骨醤油ラーメンを提供し、人気を集めている『無邪氣』(本店:福岡県福岡市城南区七隈4-8-17)による新業態。これまでの味とは異なる「背脂醤油豚骨ラーメン」を打ち出したブランドになる。
『無邪氣』の創業は2012年。店主の新島康樹さんは、東京の家系ラーメンの人気店『武蔵家』出身だが、豚骨一辺倒だった当時の福岡で関東の醤油感が強い家系ラーメンをそのまま出すのは難しいと考えていた。そこで家系ラーメンを福岡の人の舌に合うようにローカライズしたのが『無邪氣』のラーメンだった。
「実は『無邪氣』を始める時にもう一つ考えていたラーメンがあったんですが、当時の福岡では受け入れて頂けないと思ってやめたんです。今回の『無邪氣 SECOND』の背脂醤油豚骨ラーメンはその時のラーメンがベースになっています」(無邪氣 店主 新島康樹さん)
醤油のキレと背脂のパンチが効いた一杯
『博多 無邪氣 SECOND』の「背脂醤油豚骨ラーメン」は、これまでの『無邪氣』とは全く違う豚骨醤油ラーメン。これまで封印してきた関東の醤油ダレをブレンドして使用することで、従来の甘めのスープから醤油のキレも感じさせるものになった。さらにスープの表面にビッシリと浮かぶ背脂が、スープにまろやかなコクと味わいをプラスしている。
関東の背脂ラーメンよりも豚骨スープの濃度が高く醤油感もより強い。そこに背脂の甘味と九州醤油の甘味も加わる。これまでの『無邪氣』のラーメンは、家系ラーメンを福岡スタイルにローカライズしたものだったが、今回のラーメンはそこから進化して、よりオリジナリティが増した唯一無二の豚骨醤油ラーメンになっている。
福岡ならではの「醤油豚骨ラーメン」文化に、また新たな味わいのラーメンが生まれた。家系ラーメンも元を辿れば、今から50年前に横浜で創業した一軒のラーメン店で生まれたものが、今や世界にまで広がっている。福岡発祥の「福岡醤油豚骨」が新たなラーメンの潮流を生み出す日も遠くはないだろう。
◾️博多 無邪氣 SECOND
福岡県福岡市博多区博多駅東2-4-6
11:30〜15:00,17:00〜23:00
※写真は筆者によるものです。
【関連記事:家系だけが豚骨醤油ではない! 福岡だから生まれた唯一無二のラーメンとは?】
【関連記事:絶対に食べておかねばならない 福岡の豚骨醤油ラーメン「基本」3軒】
【関連記事:豚骨の街福岡に『横浜家系ラーメン』が続々と増え続けている理由とは?】
【関連記事:博多豚骨でも家系でもない!? 夜の街で愛される「博多豚骨醤油」ラーメンとは?】
【関連記事:豚骨ラーメンの街博多に「家系総本山直系」が誕生した理由とは?】