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「私、貴族って名乗っていいんですか?」吉高由里子、「光る君へ」ファンミで抜群のトークの才を発揮

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
大河ドラマ「光る君へ」ファンミーティングより 写真提供:NHK

藤原公任は道長のことが大好き過ぎる

大河ドラマの楽しさのひとつは、出演者たちがゆかりの地域を回ってトークショーが行われること。視聴者が演者と触れ合うことができるのはとても嬉しいものだ。

去る、3月18日(月)に行われたのは、NHKホールでファンミーティング(以下ファンミ)。応募数は11933件、来場者数は2438人で、当選倍率はおよそ8倍だった。

惜しくも当選しなかった人も、イベントを知らずに応募しそびれた人も、東京では見にいけないと諦めた人も、本日、4月7日(日)テレビでその模様が見られる。

ここでは、放送に先駆けて、当日の様子をほんのさわりを紹介しよう。

イベントは1時間、放送は30分なのでどこが使われるかわからないが、できるだけ新鮮に番組を見るためにさわりだけ。

ファンミに出演したのは、まひろ(紫式部役)の吉高由里子さん、藤原道長役の柄本佑さん、藤原公任役の町田啓太さん、清少納言役のファーストサマーウイカさん。そして、語りの伊東敏恵アナウンサーが司会を担当した。

今回のファンミは、NHKをさまざまな企画で超体験することがコンセプトのイベント「超体験NHKフェス」の一部として行われた。そのためステージには2023年、第74回NHK紅白歌合戦のセットが活用されていて、まず、伊東アナがそれを紹介すると、会場が少しどよめいた。

そしていよいよ出演者4人が登場。「光る君へ」のメインテーマが、歓声で聞こえなくなりそうなくらい盛り上がった。

大階段を堂々と降りてきた柄本さんは「はじめて来ました、すごいっすね」とNHKホールのスケールに感嘆。

吉高さんは、本日、司会を担当する伊東アナに「(ドラマの)あの語り、最高ですよね、場面がきゅっと締まる」と称賛。やさしい吉高さん。

トークは以下のテーマに沿って進行した。

◯自分の役はどのような人物?

◯平安時代の貴族を演じるとき大変なこと

◯平安時代の衣装を着こなす苦労は

◯平安時代の貴族を演じるとき大変なこと

◯お互いの印象

◯質問コーナー

最初にとあるハプニングがあり(多分そこは放送されると思う)、吉高さんのエンジンが全開に。それによってほかの3人もリラックスして、トークが弾んだ。ナイスハプニング。

吉高さんのテンションに、柄本さんが考えてきたことを忘れたと言いながら、長く話して、ツッコまれる様子も面白かった。

この手のトークは司会が順に話を振っていく、ややかしこまったものになりがちだが、4人は気さくな感じで全体的にクロストークになっていて、とても楽しい雰囲気が漂っていた。たぶん、吉高さんの醸すカジュアルな雰囲気がそうさせるのであろう。

以下、それぞれのコーナーで印象に残ったことを少しだけピックアップ。

◯自分の役はどのような人物?

吉高「世界一有名な日本人女性と思いますが何も知られていない。資料も限られているなかで自由さを探してやっています。生きるのが大変な女性だと思います」

柄本「世間的な印象は、大権力者で、この世はおれのものと歌を詠み、ある種ヒール的だけれどドラマではそういう印象とは真逆な感じがします」

町田「設定盛り盛りで、エリートで文芸に秀でなんでもできる役でどうしたらいいのかと思ったけれど、やってみるとすごくおもしろい。知れば知るほどおもしろいです」

「あとは…道長のことが大好き過ぎるんですよ」という発言に会場がざわついた。

ファーストサマーウイカ「空気を読めない人ではない。あえて読まない、あえて壊すこともあるし、いかに自分にとっての最適解を速く見出すという頭の回転の良さの持ち主だと思います」

◯平安時代の衣装を着こなす苦労は

町田「出演者の背が高いので、すこしセットは高くしてくれているがよく見ると中腰で歩いていることがある」

◯平安時代の貴族を演じるとき稽古で大変なこと

吉高が「いいんですか、私、貴族って名乗っていいんですか? 御三方の身分に比べたら、虫けら迷い込んできたって言われるし……」と遠慮気味に言うと

ファーストサマーウイカが「大丈夫大丈夫、これからこれから」と励ました。

やっぱり第7回の打毬の話は盛り上がった。吉高とファーストサマーウイカが打毬のかっこよさを語るときはすっかり女子になっていた。

◯お互いの印象

役の話ではなく自分たちの話になると、気楽になるのかすごく盛り上がった。クランクインからおよそ10か月が過ぎ、現場でみんなが仲良さそうなのはとてもいいことだ。

吉高さんについて柄本さんも町田さんもファーストサマーウイカさんも気遣いの人ということが共通見解。

「とっても気遣いの人。まわりがひじょうによく見えている。スタッフひとりひとりに目が向いていてすごいと思う」と柄本。ファーストサマーウイカは「差し入れのセンス、タイミングが最高」と褒めた。

観覧者からの質問コーナーのあと、吉高さんが「客席、明るくなったりしますか? お顔が見たいんで」と声をかけ、明るくなった客席に「こんばんはー」と「第1〜11回まで全部見てくれているんですか?」と気さくに声をかけた。

「私たちは25話くらいまで撮り終わったのかな? あと23話ある。まだある」と改めてまだ折り返しであることを噛み締めたようで、「みなさんが見てくださっていることが、撮影の励みになっておりますので、背中を押していただきながら、最後まで見守ってください」と挨拶した。

柄本さんは「今日、この小1時間の我々のキャラクターのことは一切忘れていただいて(笑)」と今日、かなり役のイメージと違う面を出してしまったことを反省(?)していた。

町田さんは「ちょうどいま、まひろと道長がすごいエモーショナルになっていて、これからどうなるのというところで、ここからが歯がゆさもありつつ……ねえ!(笑) あまり詳しくは言えないのですけれども、本当に楽しみにしていただきたいです。これからもっともっとたくさん魅力的な登場人物たちが出てきます」

ファーストサマーウイカさんは「#光る君絵のイラストや二次創作や考察なども拝見しております」と言い、しんどい展開が続くが「そろそろ幸せなところを見たいですよね。みなさん大丈夫ですよ、もうすぐ“定子様”(高畑充希)が登場しますからね。ほんとにすごいから!」と定子を強調。さすが、清少納言、定子に仕える役割である。トークショーで定子様がもうすぐ登場と2回繰り返していた(定子はイベントのあと、第13回から登場した)。

その後、吉高さん、町田さん、ファーストサマーウイカさんは3月30日(土)、NHKBSで「生中継 古都の春 光る君へ千年の桜」でも軽妙なトークをしていた。「光る君へ」は本編以外の番組も楽しめる。俳優陣はこういう営業?でも面白く話せる人が重宝されるのかなと思う。

大河ドラマ「光る君へ」ファンミーティング より 写真提供:NHK
大河ドラマ「光る君へ」ファンミーティング より 写真提供:NHK

大河ドラマ「光る君へ」ファンミーティング
[総合]4月7日(日)午後5時30分〜6時 ※NHKプラスで同時・見逃し配信予定
出演:吉高由里子(まひろ/紫式部役)、 柄本佑(藤原道長役)、町田啓太(藤原公任役)、ファーストサマーウイカ(ききょう/清少納言役)
司会:伊東敏恵アナウンサー

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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